岩雲雀 ーSEIRYUー ページ27
今日の仕事の報告係は俺。
親父…あ、院長のことね。親父に任された仕事は終わったら誰かが報告に行くことになっている。
麒麟は大学生だから授業。朱雀はこの春で高校を卒業して大学生になるから課題に追われてて、白虎と玄武は白虎の部屋で何やらやってたから、今日の当番は消去法で俺になった。
今では院を出て、近くの家で共同生活をしている俺らだけど、数年前まではここにお世話になっていた。
もう懐かしいな…
そうして院の廊下を歩く。
デ「やっほー、青龍。」
青「…っ……ディアプトラ…」
廊下の柱の影からひょこっと顔を出したのはディアプトラ。
こいつはまだこの院に住んでいる。
でも、こいつが所属しているインクブスは他の所に拠点があるらしい…
青「何の用だ?」
デ「ちょっと…お願いがあってさ。」
相変わらず、子どもの様な純粋な目で見てくるディアプトラ。
デ「俺…やっぱりウィンクルムを潰したいんだよね〜」
青「…手伝わない。前に失敗しただろ。」
前回、俺らはコイツに少し協力した。
そして…ウィオラの彼女は死んだ。
全てを知り、申し訳なさと罪悪感で俺は潰されそうになった。
麒麟が、メンバーがいたから立ち直れたけど…知らなかった事とはいえ、俺らがコイツに情報を流したから起こった事には変わりない。
デ「失敗?ううん、だってあいつらの苦しむ顔が見れたもん。成功だよ。」
なんでコイツは平気でいられる?
なんで笑っていられる?
青「俺らは、もう、お前には協力しない。」
そのまま、ディアプトラを無視して廊下を通ろうとした。
デ「………いや。天照は…君は必ず俺に協力する。」
青「はぁ?」
何言ってるんだ?
デ「だって、このままだと君の大切な姫は…」
青「っ………麒麟に手を出したら、お前を八つ裂きにしてやる!」
麒麟だけは、何を犠牲にしてでも守る。
デ「嫌なら協力してくれるよね?」
気がつけばディアプトラは手をヒラヒラして先に進んでいた。
俺は…どうしたらいいんだ?
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作者名:L | 作成日時:2017年5月1日 20時