大赤啄木鳥 ーSho.Hー ページ14
「どうしてウィオラは、いつも悲しそうな目をしてるんですか?」
相変わらず眠れない夜が明けて、目を覚ましたAはベットの縁に腰掛けて、ドアの近くに座っている俺にそう聞いてきた。
言葉を失った。この言葉は前に言われた事がある。
昔、まだ出会ったばかりの和奏に…
紫「…どういう意味や?」
やっと出たのはその一言だった。
「私が見るウィオラは、いつも…悲しそうなので…」
普段、俺を見ておどおどしているAは別人のように真っ直ぐ俺を見ていた。
純粋で、真っ直ぐ目。
紫「気のせいや。お前も知っとるやろ。ケンカくらいしか取り柄がなくて、周りを傷つけてばかりの俺に『悲しい』なんて感情持ち合わせてないねん。」
「いいえ!ウィオラは知っています。『悲しい』がどんな感情か、感覚か!だから…」
『ウィオラは、優しいんだよ!』
和奏の声が、Aの声と共鳴して頭に響く。
息が詰まるような感覚。
苦しくて、耐えられへん…
そう思った時にはAをベットに押し倒していた。
「っ…」
Aの怯えた顔が目の前にある。
紫「…そこまでや。今の俺はお前をこのまま犯す事も出来る。俺はそーいう奴やってこと、覚えとき。」
それだけ告げて、部屋を出て足早にAの家を後にした。
感情を考えるのは辞めたんや。
好きとか嫌いとか、そんな事考えるのは…
好きになったら失う事が怖いから
無意識に手は胸のネックレスに触れていた。
でも…
和奏から送られたこのネックレスを外せない時点で俺は感情を捨てきれていないのかもしれない…
雲一つない青空には桜の花が舞っていた。
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作者名:L | 作成日時:2017年5月1日 20時