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新幹線の中。
目の前には廉がいる。
…隣には麗美ちゃん。
つまりは、そういう事。
廉は思い出さなかった。
でも、廉は私を助けてくれた。記憶が無くても、それでも私は嬉しかった。
廉に大丈夫かと聞かれて、お礼を伝えると『よかった。』と廉は言った。
あの時も、そう言ってくれたよね？
あの時私はわかったんだよ。私は廉の嫌いな所も全部含めて大好きなんだって。
もう、廉が隣に来てくれる事は無いのかもしれない。
だから、私は私の思い出の中で…
走馬灯のようにすぎていく景色をただ眺めているとあっという間によく知る街についた。
帰り道は廉たちと別。
大吾と二人きり。
でも、二人とも何も言わなかった。
大「じゃあ、俺こっちやから」
「うん。じゃあね」
大吾と分かれるといよいよひとり。
ふと、帰り道にある小さな公園を見ると
「あ…」
公園のベンチに廉と麗美ちゃん。
二人で幸せそう。
あぁ、ダメだ。
涙をこらえきれなくなって、私は走った。ひたすら走った。
とりあえず、出来るだけ離れたかったの。
走ればあっという間に家に着く。
「ただいま！」
母「おかえ…」
お母さんの言葉も聞かずにそのまま階段を駆け上がり、自分の部屋の鍵を閉めた。
そしてベッドに倒れこんで、泣いた。
布団で声を押し殺して、泣いた。
今までこんなに泣いた事はなかった。
とにかく悲しかった。辛かった。
でも、この気持ちを誰に向けていいのかわからなかった。
廉でも、大吾でも、流星でもない。多分、誰でもないんだ。
だから、こうするしかない。
消したいよ。廉への気持ち…
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作者名：L | 作成日時：2016年1月18日 21時
