三話 ページ4
ワタシが先に入ってエンペーサーちゃんをリードする。エンペーサーちゃんは脱いだ靴をかがんで丁寧に揃えると、ワタシの部屋を興味深そうに見渡した。
「おお……これがお前の部屋か……！」
らしくもなく子供のようにキラキラした目で部屋の方々に視線を走らせる彼女。言葉にされずとも褒められているのが分かる。まさか自分の部屋を褒められるとはツユほども思っていなかったので、何だか照れくさい。
「うん。ちょっと狭いかもだけどね。あはは……」
相づちを打ち、でも自嘲気味に笑う。あとになって考えると、このときは素直に喜んで礼を言っておけばよかったのだ。ワタシが笑うとエンペーサーちゃんは少し寂しそうに苦笑した。
「そうか？ このくらいが丁度いいと思うがな。私からすればお前が羨ましいよ。広すぎるのも良くない。家に家族全員が揃っていても、別々の部屋にいれば孤独を感じる」
「へえ……そう、なんだぁ」
ワタシの引き吊った頬を一筋、冷や汗が伝う。これは地雷を踏んでしまったかもしれない。急いで話題を変えないと……！
「あー……っと、立ち話もあれだし、座ってアイスでも食べながらお話しようよ！ そっちのほうが楽でしょ？」
部屋に充満する気まずい空気を明るい声で一掃する。ひとまず、エンペーサーちゃんをアイスがあるミニテーブルまで誘導して、夏用のひんやりカーペットの上に座らせた。そして汗をかいている彼女のために、駆け足でお風呂場からタオルを持ってくる。「はい、どうぞ」と言って渡すと、彼女は快く受け取ってくれた。
汗を拭き取っている彼女の正面に腰を下ろす。この位置はエアコンの風が直で当たり少し寒い。風邪はひきたくないので、設定温度をいくらか上げてエンペーサーちゃんの近くに座ることにした。
一段落したところでアイスでも食べるかと自分のアイスに手を伸ばすと、隣でパキッという音がした。音のしたほうを向くと、エンペーサーちゃんが棒アイスを半分に折り、片方をグラスに立て、もう半分を口に運んでいるところだった。
「エ、エンペーサーちゃん……!?」
「ん、どうした」
驚愕に目を見張るワタシとは正反対に、エンペーサーちゃんは澄ました顔で棒アイスを頬張る。
「え、だ、だって……慣れてるみたいだったから……」
「慣れも何も、我が家の夏のお供はこいつだからな」
「なああっ!?」
衝撃的すぎて変な叫び声がでた。
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ユメコ(プロフ) - いなりさん» うわ〜い、コメントありがとうございます！…あーっと…実はもう既に完結しておりまして…。今回の更新は段落ごとの感覚等微調整をかけただけです…！(´・∀・｀)そして頑張ります！ (2020年12月18日 18時) (
レス) id: 6c749d243c (このIDを非表示/違反報告)
いなり(プロフ) - おおおおお(´・∀・｀)完結おめでとうございます！ユメコさんこれからも頑張って…！ (2020年12月18日 11時) (レス) id: 44292e34f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユメコ | 作成日時：2020年11月15日 5時
