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公安のデビルハンターとして1年が経ち、経歴と戦闘スキルから即戦力になるのは早かった。そして異名を囁かれることも早かった。
今朝は相棒と金沢まで出向き、悪魔の討伐に成功して東京に帰ってきてすぐ書類を作成して帰宅するはずがマキマさんの部屋に呼び出されている。
「百目鬼君。もう何人目だろうね」
「マキマさん、僕のせいじゃないです」
「君と組んだ人はすぐ居なくなるね」
「……」
「別に責めてないよ。君が入ってから凄くウチの成績が良くなったからね。不問にしておく」
「はぁ」
「しばらくは1人で行動して。次の人を探しておくから。まあ百目鬼君なら強いし大丈夫だよね」
マキマさんは抑揚のない声で淡々と話し、頷いた僕を見てから退室を命じた。
"相棒殺しのA"
それが異名である。Aは廊下に出て、はぁっとため息をついて窓ガラスに映った自分の姿を見て、ネクタイを緩めた。
カツカツと廊下の向こうから二人分の足跡が聞こえた。
Aは気にも止めない様子で胸ポケットから携帯を出して、少し遅れます。と送った。
「あらー！A君じゃん！どうしたのこんなところで」
「お疲れ様です。姫野先輩、アキ先輩」
「おつかれ」
「マキマさんに呼ばれて」
「あぁ！またやったんだって〜」
「人聞きの悪い」
「姫野先輩行きますよ」
「アキ君ご機嫌斜め〜。A君が」
「余計な事言わないで良いです‼」
「はは、おつかれさまです」
さすがに疲れたAは絡む元気もなく姫野と早川に挨拶をして立ち去ろうとしたが早川に腕を掴まれた。ぐいっと早川の目の前には立たされて、小言を言いながらAのネクタイを直した。
「ネクタイちゃんと絞めろ。帰ったら洗濯当番お前だからな」
「もう仕事終わりなんですって」
「うるせー」
「ほらほらアキ君行くよ」
そう姫野に急かされて早川は去った。Aは直してもらったネクタイを窓ガラスごしにちらっと見てからまた緩めて待ち合わせ相手のもとへ向かった。
待ち合わせの相手はかつての相棒だった。ビールを頼みガツンとグラスを合わせて二人でガブガブ飲んだ。
「くぁー！悪かったな百目鬼！なんか色々と言われただろ」
「大した事ないですよ、冠城先輩ともう働けないんですね」
「ほぼお前が元凶だからな…あんな人間離れしたとこ見せられたら民間のほうが安全って思い直されたわ」
「はは、冠城先輩は優しいからその方がいいですよ」
「何だよ。殺し屋が情に流されていいのかよ」
「もぅ辞めましたから」
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作者名：アバランチ | 作成日時：2023年7月10日 12時
