選択 ページ25
「今のAは涙腺が緩いから、気をつけてね、アオイ」
「はい!お任せください」
蝶屋敷を任されたアオイはせっせと仕事をこなす
同い年のAは、アオイにとって少し憧れの存在だった。最終選別後、すぐに継子になり、そして15歳という若さで柱にまでなったエリート、自分とは似ても似つかないAが、上弦の鬼を目の前にして手も足も出なかった。という知らせを聞いて驚いたものだ
ただ。師匠が上弦の鬼に殺されたのを目の前にしたのだ。トラウマになるのも仕方がない気がしたが。甘い世界じゃないのが鬼殺隊だ
「哀川はまだ寝ているのか」
「はい、しのぶ様より、誰であっても面会は許すな、と言われております」
「そうか」
そこで黙って帰る冨岡ではなかった
「…」
隊服に着替え、気配に気を配る、目にはクマ、顔は窶れ、フラフラとした足取りが目立つ
髪を整え、雪の結晶の髪飾りを二つ付ける
もう疲れた。自分は柱の器ではなかった。もはや、腕の立つ8人と肩を並べる自信は消失し、お館様に辞任を申し出た後、腹を切ろうと決めた
向き合おうと決めたのに、それに追い打ちをかけるかのように冬治と煉獄がAを責め立てるのだ
『なぜお前が死ななかった』『柱二人で上弦の鬼を取り逃がすとは何事か』『弱い』『のうのうと生きて何が楽しい』、そんな声がずっと頭に響き、もう精神的に参ってしまった
開き直るなら今だ。と、逃げる方を選択してしまった。いつまでたっても弱い自分に嫌気がさす反面、これで終わるという期待で胸がいっぱいだ
「しのぶさん、ごめんなさい、僕、やっぱり無理だよ」
最後の最後の甘え、許してほしい
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トウセ(プロフ) - 強く生きよ乙女の更新して下さい!!お願いします! (2017年10月14日 10時) (レス) id: 1bdce7f715 (このIDを非表示/違反報告)
ほほふー - 面白いです!!どんどん更新するのをまっておりますです!! (2017年8月22日 22時) (レス) id: 0a6d4540cc (このIDを非表示/違反報告)
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