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トラウマ ページ22

『私を無視しようなんて無駄だよ』

「っ…!?」

目の前に現れた幻覚の少女、それは2年前の自分だった。

幻覚と分かっていても、自分自身が見せている幻だとしても、とても無視できなかった。向き合うことから逃げられなかった。逃げさせてもらえなかった

『杏寿郎さん、一人で戦ってるけど、あの鬼強いよ?再生が早いし、武道も極めてる…生身の人間一人で戦えるかな?』

「何も言わないで…」

無視しろ、その言葉なんて聞かなくていい…何時もの事、怖さなんて無視すればいい、気持ちなんてねじ伏せて仕舞えばいい!

『この中じゃ、あの中に入れるのアンタだけなのに、使い物にならないなんてゴミだね、冬治が命掛けたのに、その価値もない』

あの日、忘れていた記憶が蘇った。とても鮮明に、上弦の鬼と鉢合わせして、その威圧に飲まれて動けなくなった。問答無用で襲いかかってくるのに痛みはさほど感じず。左腕の傷だけで済んだ。目の前には、冬治のいつもと変わらない顔があった。

『杏寿郎さん、死んじゃうよ』

「逃げて柱を呼んでこい」、そう言って僕を逃がしてくれた冬治、左腕の傷は深く、ガクガクと震える足はやっと走れる程度、呼吸なんて整えられない、目の前も涙で霞む、そして足を滑らせ崖から落ちた

「れ、煉獄…さん」

やっとでた声は震えていた。足も動かせるようになったが震えてうまく歩けない、あの日と同じだ

刀を手に取るが震えてうまく扱えない、呼吸も荒くてとても戦える状況ではない

「A!!無理をするな!!ここは俺一人でする!!」

血だらけで、目が潰れて、呼吸も荒くて…見ているだけで胸が苦しくなる「僕が戦えていれば」「僕が強ければ」「柱二人なら楽勝なのに」、その言葉がグルグル回る

『私を無視し続けたからだよ、なんで逃げるの?向き合ってよ、何度も呼びかけたのに無視して、抑え込んで…冬治との思い出も、煉獄さんの想いも全部無視して忘れてさ、逃げてきたのに本番できるわけないじゃん』

「無理…」

『私と向き合って!!』

「無理…!!」

ヘナヘナと力をなくして握った刀を離してしまう

もはや、戦う気など一ミリもなかった

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トウセ(プロフ) - 強く生きよ乙女の更新して下さい!!お願いします! (2017年10月14日 10時) (レス) id: 1bdce7f715 (このIDを非表示/違反報告)
ほほふー - 面白いです!!どんどん更新するのをまっておりますです!! (2017年8月22日 22時) (レス) id: 0a6d4540cc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ふじょし | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2017年8月21日 23時

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