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重なってなんてないのに、
その唇の熱さが伝わってきて。
少しでも顔を傾けたら、その熱い唇と重なってしまう。
バクバクバク、とあり得ないほど加速する心音に、死んじまうんじゃねえかと思った。
必死でドアに後頭部を押し付けるけど、その距離は離れない。
「おいら、よく犬に鼻チューすんだけど」
突然そんなことを話し始める智くん。
動くだけで俺の唇に当たりそうになるのに、全く気にする様子もなく。
むしろ、それを望んでいるかのように。
智くんの目は、まっすぐ俺に向いていた。
「翔くんは、犬じゃねーもんな。
だから、こっち………」
智くんの手が俺の顎に添えられ、
親指でそっと唇に触れた。
もう俺の心臓は破裂しそうなぐらい鼓動が速くなり、頭も沸騰寸前だった。
くっついていた鼻先がそっと離れ、代わりに、
少し柔らかな感触がして、
智くんの唇が、俺のと重なった。
あっ……つい………
熱い、熱すぎて。
溶けてしまいそうだった。
重ねたのは数秒程度だったのに、
唇の熱がまだ離れなくて。
頭は既に沸騰していたのかもしれない。
もう何も考えられなくて、
ただぼおっと、離れていく唇を見ていた。
不意に、甘い声が俺の名前を呼んだ。
「……しょお、くん」
「…………」
「……もっかい…
もっかい、したい」
「っ！！」
もう一回、なんて、そんな。
溶けるどころじゃない。
きっと、蒸発してしまう。
「だっ！だめっ！！」
「……なんで？いや？」
傷付いた顔をして、そう聞いてくる。
「いや、じゃ………
嫌じゃ、ない」
「っ……じゃ、なんで…？」
「だっ、て……」
そんなことされたら……期待してしまう。
ていうか今も…期待してしまっている。
もしかして、同じ気持ちなんじゃないかって。
目を伏せると、翔くん、とまた貴方が名前を呼ぶ。
今ここで言ってしまったら…
どうなるんだろうか。
俺の期待が、勘違いだったら………
恐怖で喉が詰まり、声が出せない。
「翔くん、おれね、」
ガチャッ
「おっはよーございまーすっ！！」
「ちょっと相葉さん、うるさい！
って………あら？」
「リーダー！おっはよ〜」
「お、おぅ………」
「ちょっと相葉さん、ドアの後ろに翔さんがっ！」
「えぇっ！！？
なんでっ？」
智くん……ドアが開く瞬間、咄嗟に後ろに下がりやがった。
マジ………背中直撃したんだけど……
超痛ぇっ！！
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hanimaru820(プロフ) - お互いの切ない気持ちとキスの時の描写がお上手でドキドキ感がとてもよく伝わってときめいています！続きを楽しみに待っています。 (2019年12月21日 9時) (
レス) id: cbead40e87 (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - 橙さん、初めまして。お話ありがとうございます。楽しく読ませて頂いております。続きが楽しみです！ (2019年10月21日 9時) (レス) id: 6cd0f843d6 (このIDを非表示/違反報告)
パステル*(プロフ) - 応援しています。頑張ってください！！ (2019年10月20日 23時) (レス) id: 09f3d4132d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：橙 | 作成日時：2019年9月1日 21時
