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「櫻井さん、大丈夫ですか？」
大丈夫…じゃ、ない……
心配そうな泉さんの顔がぐにゃりと歪んで見え、羽目を外しすぎたと今更反省した。
いつも人と飲む時は、量を調節してダメにならないようにしているのに……
＿＿＿それもこれも全部、智くんのせいだ。
絶賛俺の悩みの源である、智くんに怒りの矛先が向いた。
何なんだ、あの人は。
昔っからそうだ、あまり多くを語らないから、気持ちを汲み取って言葉を足してやらなければ気持ちが伝わらないし。
まあそれは俺が好きでやってることで、おかげで大体は何が言いたいか分かるようになったけど。
今は、全く彼の気持ちが分からない。
どんな気持ちで俺にキスをしたのかも、今日会った時平然としていたことも。
「わっかんねぇ………」
「何がですか？」
突然声をかけられ、自分の意識が覚醒したことに気づいた。
どうやら今は、泉さんに肩を支えられながら帰っている最中らしい。
本当に申し訳なかったが、自分一人では歩けないほど酔っていた。
「…いや、なんでもない」
「そうですか？」
「それより、ごめん。送らせてしまって。」
「いえいえ全然、大丈夫です。
むしろ、櫻井さんの意外な面が見れて、得した気分ですよ。」
…なんて言ってくれる彼は優しいなあとしみじみ思っていると、泉さんが急に固い声を出した。
「どうします？今日。
俺の家ここから結構近いんで、泊まっていきますか？」
体がダルく視界も歪んでいて、早くどこかで休みたかったので、あまり何も考えずに頷こうとした。
＿＿＿瞬間。
…グイッッ！！
物凄い力で空いていた方の腕を引っ張られ、
その反動で、俺の体は泉さんから引き剥がされ、そのまま引っ張られた方向に倒れていく。
倒れる前に、ぽすん、と誰かの腕の中に収まった。
それが智くんだと分かるまで、時間はかからなかった。
ふわりと鼻に届いた匂いで、すぐに分かってしまったのだ。
「その必要はないよ。
おいらんとこに泊めるから。」
耳元から聞こえる声に、ドクドクと心拍数が上がっていっているのが自分で分かった。
泉さんは困惑した表情で俺たちを見ていた。
俺が何か言おうとすると、智くんがそれを遮る。
「じゃ、ここまで運んでくれてありがと。」
そうぶっきらぼうに投げ捨て、いつの間に呼んだのか、半ば強引にタクシーに乗せられた。
続く (更新停止中)
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hanimaru820(プロフ) - お互いの切ない気持ちとキスの時の描写がお上手でドキドキ感がとてもよく伝わってときめいています！続きを楽しみに待っています。 (2019年12月21日 9時) (
レス) id: cbead40e87 (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - 橙さん、初めまして。お話ありがとうございます。楽しく読ませて頂いております。続きが楽しみです！ (2019年10月21日 9時) (レス) id: 6cd0f843d6 (このIDを非表示/違反報告)
パステル*(プロフ) - 応援しています。頑張ってください！！ (2019年10月20日 23時) (レス) id: 09f3d4132d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：橙 | 作成日時：2019年9月1日 21時
