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その日は、しやがれの収録日だった。
雑誌のインタビューを済ませ、楽屋に入ると、
珍しく…智くんだけだった。
ソファーで仰向けになって寝ている姿を見て、クスッと笑ってしまう。
「…お疲れさまです」
近づいてぼそっと呟き、このまま起こさないでおこうと、
俺は対面のソファーに座り、新聞を広げた。
「ん………ん゛んっ……ふぁ〜」
タンが絡んだのか、濁った声を出しながら、伸びをし、起き上がった。
まだとろんとしているまぶたを俺に向け、しばらく停止した。
「あれ……なんでしょおちゃん、ここにいんの」
「俺も同じ楽屋でしょうが。おはよう大野さん、ほら、ちゃんと起きて」
苦笑しながら新聞をテーブルに置き、智くんのもとへ行く。
下から俺を見上げてくる智くんに、不意に胸がきゅんっとなった。
…………また、だ。
俺は高鳴った胸をぎゅううっと片手で握り潰すように、服を掴んだ。
その感情を押し潰すように。
そんな俺の様子を完全に目が覚めた智くんが、不思議そうに見つめていた。
「それにしても、珍しいね。智くんが一番乗りって」
「ん…何となく。早く着いた」
「そっか。最近お疲れ気味？ドラマも撮ってるんでしょ」
「うん。だから、もうちょっと寝たかった…
のに、翔ちゃんが起こした」
突然責められ、俺はいやいやいや、と否定した。
「俺、静かにしてたよ？起こさないように」
「物音しなくても、翔くんだって分かっちゃうの。
寝てても。なんか、感じるんだよね」
「へ……。」
「おいら、なんか翔くんのことには敏感みたい。」
「………っ」
どくんどくん、と心臓がうるさくなった。
そんなことを言って、にへらと笑う智くん。
その顔にもまた心臓は反応する。
また片手で胸辺りを押さえつけ、
俺は智くんにいつも通り、笑いかけた。
「…なにそれ(笑)」
「んふ、おいらも分かんない。」
「分かりました、今度からは気配を消しますよ。」
「そんなん出来んの？(笑)
でも別に良いよ、困ってないし。」
優しく微笑む智くんに、ほっと癒される。
そう、ちょっと前までは、癒される程度だったのに。
いつの間に、こんなに胸が苦しくなり始めたんだ？
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hanimaru820(プロフ) - お互いの切ない気持ちとキスの時の描写がお上手でドキドキ感がとてもよく伝わってときめいています！続きを楽しみに待っています。 (2019年12月21日 9時) (
レス) id: cbead40e87 (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - 橙さん、初めまして。お話ありがとうございます。楽しく読ませて頂いております。続きが楽しみです！ (2019年10月21日 9時) (レス) id: 6cd0f843d6 (このIDを非表示/違反報告)
パステル*(プロフ) - 応援しています。頑張ってください！！ (2019年10月20日 23時) (レス) id: 09f3d4132d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：橙 | 作成日時：2019年9月1日 21時
