biohazard of Japan【小説企画】 (ページ41)

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四十話本城陵ページ41

「なるほど……親が残した資料ですか……」
「うん、ねえ陵先輩はこの紙に書いてあることわかる？」
目の前にいるふわふわした癖っ毛の少女が手に持った紙を僕に押し付けて来る。

久しぶりに本部に帰ってきたらこの始末だ。
桜さんほど結果を求め続ける人間は僕が知っている限り居ない。
そういう桜さんは血のついたタオルを片手に僕の元へと来たのだ。
……何があった。

押し付けられた資料を見るとそこには日本語とは思えないほど乱れた筆跡。
しかし、僕が一部分だけ読めたことを伝えると桜さんは目をキラキラさせて教えてくれと言った。

【未報告ウィルスの無効化について】

……これは、今続いているバイオハザード化のことであるかは不明だが桜さんの親がウィルスの無効化に成功したのなら。
食い止められるかもしれない。
この絶望的な状況を。

しかし、桜さんはそれを聞いた途端顔を歪めた。
「……このウィルスの研究が出来たってことはウィルスの発生地域は外国ってこと…？」

「さあ、どうでしょう。
今の僕たちには知る権利もありませんよ？」

そんな会話をしながら資料を桜さんに返す。
僕が解読できるとは思えませんからね。

桜さんにはみんなには伝えてもいいけど自己責任ですよ、と伝えると一目散に何処かへと走って行った。

甘い香りが漂ってきた途端。
僕は向かっていた場所へ行くのを諦めて真逆の方向へと歩き出した。

甘いものは苦手だ。

暗い外を眺めながら大きくため息を着く。
視界に映る誰かの後ろ姿をボーっと見ながら頬図絵をついてコクリコクリと居眠りを始めた。
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どなたか桜の話を聞いていただけますかね…？