biohazard of Japan【小説企画】 (ページ23)

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二十二話　荒関丈二ページ23

…嗚呼、頭痛がする。勘弁してくれ。
今日に限って寝覚めが悪く気分の優れない彼は突然の来訪者に、まるで嵐でもやってきたかの様に感ぜられたのであった。

「ジョージさ～ん…?」

無遠慮に開け放たれた扉からは、同じ部隊に配属されている少女が小さな顔を覗かせていた。
控えめなノック音と彼女とがどうも一致しない。こんな調子の彼女がノックという一般常識なるものを実行するという事自体がまず有り得なかったのだ。唖然としていた丈二もいつものように至極冷静な声で、彼女の不作法をたしなめるのだ。

「…レイアか。ノックが出来る様になったのは…まあ上出来だ。しかし、男の部屋に入る時は慎みというものを…」

途中、ふと疑問を感じた。靴音はレイアのものだけではない、複数であった筈だ。
きっと此方の小言など綺麗に聞き流してしまっているのであろうレイアの後ろをよく見ると、苦笑を浮かべる天上に、腕を組んで此方を見ている龍ヶ峰がいたのだ。何故…?西日本部隊の隊長に東日本部隊隊員の彼が何故此処に…。

「茶会ですよ。師匠もいかがですか」

そんな顔ぶれを前にして、何か緊急事態で招集を掛けられたのではないか…、と深刻に考え出す丈二にいかにも呑気な言葉が降ってくる。いつもなら、その呼び方はよせ、とすかさず言うところだが、今回は違った。…今何と言った?と、天上の方を見るとかわりに龍ヶ峰が茶会だよ、と一言返してくる。

「…悪いが、私は」
「決まりデスね!ジョージさんも来るのデス!」

今日は体調が優れないので、とそう続けようとしたがレイアの声によって遮られた。
なんと強引な事に、レイアは決まりだと頷いてさっさと部屋を出て行ってしまったのだ。…一刻も早く茶会へ行きたい様だ。嵐の様にやってきて、嵐の様に去っていく彼女を呼び止めようとするも、時は既に遅かったようだ。

「まあ師匠、たまにはいいじゃないですか」

眉を下げて笑う天上を恨めしそうに見た。自分を茶会に誘うと言い出したのは恐らく、彼に違いない。しかし、どことなく上機嫌に見える彼にきっぱりと断る事など出来ず、龍ヶ峰にそれとなく助け舟を求め目配せするが、諦めろ、というように肩を竦めると彼女もレイアに続いて行ってしまった。

思わず本日二度目の嘆息をもらした。

結局のところ、最後まで渋りながらも丈二の方が折れて、身なりを整えたのちに茶会に参加する事になったのだ。

＊

文字数つら…(白目)