いつまでも君を待っているから

空虚 ページ11

Aと最後に会ってから約2年が経ち、ついに2015年5月26日、俺たちSEVENTEENは4年という長い準備期間を経てデビューを果たした


まだまだこれからだということは分かっていたけど、体中から喜びが溢れた


今までの努力が全て報われた気がした


何よりもAが考えてくれたS.COUPSという名で、デビューできたことが嬉しかった


早く直接報告しに行きたいという思いが俺を急かす


デビュー直後はインタビューやら何やらで大忙しだったが、何ヶ月か経って一旦落ち着いた時に1週間ほど家族の元に帰らせてくれることになった


そして1stミニアルバム『17 CARAT』をリリースすることになったから、サイン書いてAに持っていかなきゃな笑 なんて呑気なことを考えていた


Aと何を話そうか、そんなことばかりが頭の中を占めていた


家に帰り、家族にデビューしたことを話したら
皆デビューショーケースを見て既に知っていたけど、泣いて喜んでくれた


「Aにも報告してくるよ」


そう言って出かけようとした時


母「スンチョルやー、Aちゃんはもういないよ」


母さんに呼び止められた


「いないって、、どういうこと？」


心臓の鼓動が早くなるのを感じる


母「Aちゃん高校卒業したときに、日本に戻ったんだよ」


母「ほんとにスンチョルに言ってなかったんだね」


高校卒業ってことは、2年前


俺が最後にAに会った頃だ


もしかしてあの時Aが言いかけたことは、このことだったんじゃ、、、


母「ほんとはスンチョルに連絡しようとしたんだよ、そしたらAちゃん、スンチョルは今夢を叶えるために忙しいから、私のことで余計なことを考えさせたくない、内緒にしていて欲しいって口止めされてたのよ」


頭が真っ白になった


呆然としたまま自分の部屋に戻り、『S.COUPS』とサインの書かれたアルバムを焦点を失ったような空虚な眼差しで見つめることしかできなかった

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