憧れ【Valkyrie】 (ページ44)

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衝突ページ44

手芸部部室から出て、早歩きで廊下を歩く。
廊下を走りたい衝動に駆られるが、走ったら怒られる為、我慢だ。
あそこを曲がったら早いかな…？

そう思って角を曲がると、

ドンッ

『うわっ！？』

「ふぎゃっ！？」

誰かとぶつかってしまった。

『いたた、ごめんなさい…。』

｢もぉ〜！誰！？高貴なボクにぶつかった奴は！……ってA！？｣

『桃李くん…！？』

聞いたことのある可愛い声だと思ったら桃李くんだった。
二人で驚いて見つめあっていると、桃李くんの後ろから眼鏡をかけた先輩が歩いてくる。

よく見ると入学式の時、挨拶をしていた副会長の蓮巳先輩だった。

｢だから、前をちゃんと見て歩けと言ったんだ。｣

「副会長…！しょうがないじゃないですか！あそこにいる弓弦がうるさいから、ぶつかっちゃったんですよ〜！！｣

ぷんすこ怒りながら桃李くんが指差す。その方向を見ると、2年生の先輩がいた。こっちに向かって歩いてくる。

｢こっち来なくていいから！大丈夫だから！」

｢坊ちゃまの不注意で、倒れた方がいるというのに弓弦が行かないという選択肢はありません。｣

何やら二人で揉め始めた。それを見た蓮巳先輩は眉間に皺を寄せ、ため息をつく。

｢…すまない。俺が代わりに謝ろう。｣

『あっ、全然大丈夫です。僕の不注意もあると思うので………』

僕がそう言えば、「しかし、ぶつかってしまったのは事実だ。謝らせてほしい。」と蓮巳先輩に言われた。