憧れ【Valkyrie】 (ページ37)

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笑顔ページ37

見ていた影片先輩が、そういえば……と言って斎宮先輩に話しかける。

「Aちゃんもそろそろユニット練習せなあかんよね……。俺たち、活動はあんまりせぇへんけど偶に地下ライブハウスでやっとるから……」

「そうだね、そろそろユニット練習もした方が良いだろう。」

未だに僕を抱き締めながら話す斎宮先輩。
全然話している内容も入ってこない。
脳内パニック状態である。
すると一瞬、影片先輩と目が合い、近づいてきた。

もしかして、助けてくれるのかな…？と期待するが、予想外に影片先輩の手が自分の頭に乗せられた。

「不安やのん？そんな顔せんでも大丈夫やで〜。」

そう言って優しく頭を撫でられる。

違う、嬉しいけど違う…………。

すると、突然斎宮先輩に顔を覗かれる。

「ふむ、少し顔が赤いが……大丈夫かね？」

『……大丈夫、大丈夫です……！』

僕の言葉を聞いて、「そうか」と斎宮先輩が言う。
これ以上、迷惑はかけたくはない。耐性をつけなければ……と決心する。今日から特訓だ。

「言い忘れていたが……僕のマリオネットになったからには定期的にメンテナンスも行うからね。」

メンテナンス？？？

『メンテナンスとは……？」

「メンテナンスはメンテナンスなのだよ。」

具体的に何をするのかを知りたかったが、斎宮先輩にそう言われてしまう。影片先輩にも聞いたらわかるかも、と聞いてみるが……

「メンテナンスはメンテナンスやで♪お師さんにメンテナンスされると調子良くなるんよ。」

斎宮先輩と同じことを言われる。機械とかの手入れをメンテナンスって言うよね……
さすがにないと思いたいが、どこか悪かったら……ネジとか入れられて修理されたりする？

でも、Valkyrieの一員になったのだから怖がってちゃダメだ。

メンテナンスがよく分からないけれど……

『よろしくお願いします……？』

「あぁ、よろしく。……あと、君が想像しているようなメンテナンスではないから安心したまえ。」

『えっ！声に出てました……？』

「カカカ！顔に書いてあったのだよ。」

僕を見て、楽しそうに斎宮先輩が話す。
声を出して笑う斎宮先輩、初めて見たかも……。