憧れ【Valkyrie】 (ページ36)

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試着ページ36

「困るような質問をしてしまって悪かったね。」

斎宮先輩が僕を見て言う。

『あっ……全然大丈夫です！！』

斎宮先輩が質問をしてきた時、何を聞かれるのか内心ドキドキしていた。
家庭のことを詳しく聞かれるのは好きではないから。

「……良かった。では、気を取り直して試着をしようか。」

そう言って、斎宮先輩が大量にある服から１着を取り出して、僕に渡す。

「この服を着てもらいたい。」

『はい……！』

「もし着方がわからなかったら、この僕が着替えさせてあげるのだよ。」

ふふんっと胸を張って言う斎宮先輩。

『あ、ありがとうございます。』

斎宮先輩の優しさにお礼を言った僕だが……
いや、無理。着替えさせられるのは無理。
推しに着替えさせられるのは心臓がもたない。

「試着室作ったで〜♪」

影片先輩がにこにこして、作ったことを報告しに来た。

「ここに入って着替えたまえ。着替え終わったら教えてほしい。」

斎宮先輩の言葉にこくこくと僕は頷き、試着室に入って着替え始める。

お人形さんが着るような綺麗な衣装だなぁ……。
僕も一応、斎宮先輩のマリオネットになった訳だが、服に着せられている感じがする。

『よし……着替え終わりました。』

そう言って試着室から出ると、斎宮先輩がこちらを見て、足早でつかつかとこちらに歩いてきた。

「やはり僕の目に狂いはないねッ！この姿を誰にも見せたくはないのだよ。」

「でも、お師さん。その服、AちゃんのValkyrieのユニット衣装やって言うてたやん。」

「うるさいよ、影片。」

不思議そうに影片先輩が聞いたのを斎宮先輩が叱る。

『え……これユニット衣装なんですか？』

斎宮先輩を見て聞けば「そうだよ。」と言われる。

そして……、雨宮、雨宮、僕の愛しいマリオネット……♪と言われ、抱き締められた。

影片先輩を見れば微笑ましそうに、こちらを見てにこにこしている。

可愛い……じゃなくて……

心臓もたないので、助けてほしいです……！