憧れ【Valkyrie】 (ページ27)

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もう1人の推しページ27

先輩が僕の腕を引いて手芸部部室のドアを開ける。まだ少し頬が赤い。ちなみに僕も赤いままである。

｢お師さ〜ん。この間、話した子連れてきたで〜♪｣

影片先輩が嬉しそうにお師さん？に話しかける。僕は影片先輩の後ろに立っているからよく見えない。

斎宮先輩なのかな……？と少しわくわくして返事を待つが、部屋は静かなままだ。

｢んあ〜……。お師さん、集中しすぎて話聞こえてへんみたいやわぁ……。｣

影片先輩が肩を落として呟く。

｢Aちゃん、ごめんなぁ。お師さん、今無理みたいやから……。今日はお茶飲みながらお話するだけになってまうけどえぇかな？｣

『あっ、はい。全然大丈夫です。』

｢おおきに♪ 今、お茶淹れてくるからそこの椅子に座って待っててほしいねん。｣

と言ってパタパタと走って行く先輩。そっと椅子に座り、周りを見渡すと影片先輩で見えなかったお師さん？の姿が見えた。

い、い……斎宮先輩だぁぁぁぁぁ……

急に視界へ斎宮先輩を入れてしまったせいか、脳がうまく働かない。

顔が綺麗。髪がふわふわ。存在がすでに芸術。

じっとガン見してしまうのは仕方がない。
すると、斎宮先輩と目が合う。

え、目が合った……？

ガタンと音が室内に響く。斎宮先輩が立ち上がった音だ。

｢んあっ！？何やのん！？｣

お茶を淹れていた影片先輩がその音にびっくりしたのか走ってやってくる。

目の前にValkyrieのお2人がいる……。と感動しているのも束の間。

つかつかと斎宮先輩が近づいてくる。ちょ、ちょっと待って……。

｢君…………。｣

顔を近づけながら見つめてくる。目が輝いているように見えるのは気のせいか。

｢影片っ！｣

｢な、何？お師さん。｣

｢この間言っていた可愛い子というのはこの子かね！？｣

｢そ、そやけど……｣

｢トレビアン！｣

斎宮先輩が突然大きな声で言う。影片先輩も突然聞かれて困惑顔だ。

僕も状況がよく飲み込めていません……。