憧れ【Valkyrie】 (ページ24)

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呼び方ページ24

｢そういえば、ちゃんと自己紹介してなかったよね？俺は3年の瀬名泉。お兄ちゃんって呼んでくれたら嬉しいなぁ……？｣

急に自己紹介をし、お兄ちゃんと呼んで欲しいと言われた。

なるくんは呼んだんだから、俺も呼んでという圧を感じ、少し怯んでしまう。

『…………お……お』

お兄ちゃんって言おうとしてもなかなか言葉に出すことが出来ない。圧、圧が……。

「泉ちゃん、怖がらせちゃダメじゃない。Aちゃんは繊細なのよォ。」

お姉ちゃんが間に割り込んで助けてくれる。

「なるくん邪魔しないでくれる？もうちょっとで言ってくれそうだったんだから。」

「Aちゃんにも言うのに順序ってものがあると思うの。ゆっくり言ってくれるまで待ってあげましょ♪」

お姉ちゃんが瀬名先輩を説得し始め、助かったと思ったが、次は言えるようにしようと心の中で呟く。

「A」

こっそりと司が来て小さな声で僕を呼んだ。

「瀬名先輩がすみません。ところで、Aはなぜここに？」

『あっ、スマホ忘れていったよね？届けに来たよ。』

司に言われスマホのことを思い出し、バッグからスマホを出して渡す。

「Smartphone！忘れていました……！ありがとうございます。」

にっこりと微笑む司。可愛い、誰か僕にカメラをください。

「では、瀬名先輩にバレないように退出しましょう。」

そう言った司は音を立てずにドアをゆっくりと開け、司と僕は防音レッスン室から出た。