憧れ【Valkyrie】 (ページ23)

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良い子ページ23

苦労していることが伺え、だんだんと先輩が可哀想に思えてきた。
バッグに入っていたまだ開けていないペットボトルの水を渡す。

『えっと……先輩お疲れ様です。』

すると、瀬名先輩は驚いた顔をして水を受け取った。

「俺に？………………。しかも常温。差し入れの仕方よくわかってるんだねぇ。甘い飲み物を買ってくるかさくんと大違い。」

気が利く後輩は嫌いじゃないよぉ♪と言いながら、頭を撫でてくる。

あれ、今日たくさん撫でられている気がする。

「かさくんにしては良い友達が出来たんじゃないの？俺の周りには生意気なのしかいないから疲れるんだよねぇ……」

そう言いながら撫で続ける。

「いつまで撫でている気ですか。瀬名先輩。」

司が瀬名先輩に近づいて言う。僕も聞きたかったことだから聞いてくれてとても助かるのだが……

「Aくんが良い子だから撫でてるんだけどぉ？何か文句ある？」

未だにいい子、いい子と撫でられる。

「珍しいわァ……泉ちゃんが遊木クン以外を気に入るなんて。」

「ゆうくんが1番なのは変わらないけど、Aくんは特別なんだよねぇ……♪」

瀬名先輩がにっこりと目を細めて見てくる。

なぜか背筋がぞっとした。鳥肌がたったような気がする。

でも、目の前にいる瀬名先輩は優しい人だと思うから気のせいだと思いたい……。