夜明けが希望でありますように (ページ7)

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家族ほど難しいものはないページ7

ボーダーのラウンジで
その日出された課題や復習をしていれば
時間を潰すことはそんなに難しくはない
S級の私はあまり関われる人がいない
模擬戦やランク戦で仲良くなる人を見かけるけど
私にそんなことはない
特にそのことで困ることはなく黙々と課題を進めていく
今年が受験生なこともあり
課題が終われば問題集や参考書を広げ
次の問題へと進めていく

「それくらいの学力があれば
　六頴館でも十分ついていける思うんだけどな」

ラウンジの目立たない奥の席に気付き
わざわざ来る人なんてそういない

『なんだ、犬飼か』

「なんだとは失礼だなぁ」

私の座る椅子に手を置いていた犬飼は
私の前に座り直した
20時を過ぎたこの時間に任務以外で
まだボーダー隊員が残っていたのは知らなかった
二宮隊のスーツ姿ではなく制服になり
自分のバックを持つ犬飼はもう帰るところだったのだろう

「そろそろ帰らないと外真っ暗だよ」

『そういう犬飼も帰らないでいいの』

「この時間に女の子1人で帰る方が危ないよ」

『平気よ、もう慣れてる』

「慣れないでよ」
そう言う犬飼の困ったように笑う顔は
今日の迅さんと少し重なった
「そう言えば」と犬飼は思い出したように言葉を繋いだ

「もう夕食たべた？」

『食べてきたら？』

「やっぱり食べてないんでしょ
　勉強は一旦終わり、行くよ」

広げていた問題集を閉じられ
私もしかたなく持っていたシャーペンを
ペンケースの中に戻した
先に立った犬飼は私の右手首を引っ張って
食堂へと向かった