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君の幸せを願ってた ページ43

土砂降りの雨が窓に張り付くのを見ながら
バックの中を探って折り畳み傘も持ってないやと
心の中でため息をついた
毎朝天気予報をみなくていいように
折り畳み傘をバックの中に入れているのだけど
昨日取り出して持ってくるのを忘れてしまった
下駄箱まで来ても一向に止む気配はなく
この中走って帰るかとバックを前で抱えた

「うおっ、まだおったん」

タイミングが良いのか悪いのか
まだ学校に残っていた水上が目を見開いて立っていた

『まだいたんだ』

「教育相談で話しとった、お前こそなんでおるん?」

『雨止まないかなって』

「ほーん」と興味無さげに言った後
傘立てから深い紺の傘を取り出して
外へ出てからそれを広げた
昇降口のまだ雨の当たらないところで振り返った水上は
さしている傘であまり表情が見えなかった

「入らんの?」

戸惑う私を見透かしているかのように
水上の声が聞こえた

『はい…る』

そう言った時
水上の口角が少しだけ上がったような気がした

2人で歩いてはいけるけれどその間の会話はあまりなくて
ポツポツとお互い呟いては黙るを繰り返した
でも私にとって今の状況でうまく話せる気もしない
隣にいるだけで心臓がはやい
この音が聞こえてほしくない
雨が弱くならなくて良かったと思った

お互いの制服が擦れそうになるくらい
近いこの距離に息が詰まりそうになる
実際呼吸ができているのか分からない
1つの傘の中は狭くて
少しだけ左側にいる水上から距離を取るように
体を縮めて右側にいるよう意識した
チラリと目線だけ水上に送れば
左肩から腕にかけてびっしょりと濡れていて
真っ白な制服は肌に引っ付き水が流れた
逆に私は濡れていなくて冷たく寒いはずなのに
器用なのに不器用で矛盾した優しさを持つ水上が
どうしようもないくらい好きなんだ

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作者名:lei | 作成日時:2023年9月15日 23時

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