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水上side
人の事情に首を突っ込むべきではない
それは本心でそうするべきだと思ったことだった
人に言えないことは誰にでもあるだろう
それを無理に追求するのも話させるのも
相手のことを考えればすぐに理解できることだった
でもあんな雨宮は初めて見た
"雨宮の人間じゃないんだから"
その時の表情はいつものような笑みでも
怒っているわけでもない
当たり前のことを言うんじゃないとでも言いたげな
光を無くした目
やっと彼女の本性を見れた気がした
雨宮とは1年の頃同じクラスになった
ただのクラスメイトで友達といる時に特に笑ってるやつ
それが1番最初に思った雨宮の印象だった
ずっと笑ってて疲れんのやろか
そう思うことだってあった
でも困ったり焦ったり
雨宮のそんなところを見たことがなかった
日直と書かれた黒板に
俺の名前と雨宮の名前が並ぶ日があった
その日は任務も入ってなくて遅刻も早退もしない
1日中日直の仕事をするのは面倒だと思った
しかし昼休みになっても俺の仕事は無かった
黒板を消すこともノートを集め配ることも
担任からの頼み事も全て1人で終わらせていたのだ
同じ日直なのだから手伝って欲しい
そう一言声をかければいいのに
ただ1人黙々と仕事をしていた
さすがに何もしないのは悪いと思い
放課後の雨宮が職員室に行っている間
日誌を広げシャーペンを動かしていた
カラカラと教室の扉の動く音がして
その後こちらに近づいてくる足音が聞こえた
俺の前の席に座った雨宮は日誌をじっと見つめていた
『水上君ってボーダーなんだよね？』
「せやけど、何？」
『私がしとくから行ってて良かったのに』
「全部任せるわけにはいかんやろ」
薄く笑った彼女は『優しいんだね』と呟いた
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作者名：lei | 作成日時：2023年9月15日 23時
