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ブラシで床を擦りホースから出る水で汚れを流す
それを繰り返して約1時間ほど経った頃
やっと終了となった
「疲れたぁ！」
一緒にプール掃除をしてくれたのは
D組の子で3年間で1度も
同じクラスになったことのない人だった
同じ作業を2人でしているからか
ポツリポツリと会話を繋ぎ
少しだけ仲の良い関係になった
初対面の人とも会話をしてくれる人で良かったと
内心結構安心している
学校の教室でジャージで掃除をしていれば
いつの間にかお互い全身がビショビショに
濡れてしまい制服に着替えたことまでは良かったが
髪は乾くわけもなく今も水滴が落ちている
服に水が染み込まないよう肩にタオルをかけた
それでもタオルの無い部分は濡れてしまったようで
肌に張り付く感覚が気持ち悪かった
「まだ残ってる人いるかな」
『ちょっと気まずいから帰ってて欲しいな』
そう言えば「確かに！」とケラケラと笑い声を溢した
渡り廊下を歩いていれば窓から見えるD組の教室に
数人人影が見えた
「友達が待っててくれたみたい」と言って
彼女は手を振った
それに気付いたようで相手も振り返していた
C組の方は丁度死角になっていて見えず
誰もいなければいいなと思った
渡り廊下を歩き終えた所で
私達はそれぞれの教室へと向かった
明るい子だったなと思って扉を開けば
教室の真ん中に集まる数人に
心の中で『うわ…』と声が漏れた
「おや、随分面白い格好をしているね」
「水遊びでもしたのかよ」
なぜこの教室にいるのか分からない王子は顎に手を添え
当間は誰かの椅子に座り頬杖をついて笑った
他にも北添と3-Cのメンバーもいて
もっと遅くに帰ってくれば良かったと後悔した
自分のバックの中から櫛と鏡
もう1枚持っていたタオルを取り出し机の上に置いた
外で作業するだけで
異常なくらい体力を持っていかれた気がする
水滴は落ちなくなったけど
まだ水気が残る髪にタオルを押し当て水分を取っていく
この姿を水上にも見られているというのが
恥ずかしくて軽く櫛で髪を整えてから
鏡を見て前髪にも櫛を通した
今日はボーダーに行く用事がなくて良かった
「髪、すごい濡れてるけど大丈夫？
風邪ひかないかゾエさん心配だよ」
『プール掃除でこうなっただけだから平気だよ』
北添の隣で心配という表情を浮かべる村上に
この2人は優しいなと他のメンバーを見て思った
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作者名：lei | 作成日時：2023年9月15日 23時
