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・水上side ページ19

水上side

あの迅さんがランク戦ブースにいるという噂を
どこで聞きつけてきたのか隊室にいるイコさんと海は
今からそっちに行くというメッセージが送ってきた
実際視線の先には迅さんがいてその隣には雨宮もいた

ランク戦を直前にして誰かと闘い
敵に塩を送るようなこと
いつもの俺だったらしなかっただろう

「水上先輩、シューターって難しいんですね…」

ガックリと肩を落とす雨宮の妹である緒音ちゃんは
姉とは違い表情の豊かな後輩であった
毎日のように朝から教室に来ては声をかけ
時間になれば戻っていく
健気やなと思いながらとその背中を送ることは
今までに1度もしたことがない
「せやなぁ」と適当な相槌をうてば
たったそれだけのことで嬉しそうに目を輝かせた

「あ!水上先輩が教えてくださいよ」

「はぁ?」

「生駒隊のランク戦見てると
 水上先輩すごい!ってなること多いんです
 私師匠いないし水上先輩教えて…」

「そういう話しなら他あたってな」

「なんでですか?」と首を傾げる緒音ちゃんに
この子は折れんやろうなと内心大きくため息を吐いた

「俺より適任なやつがおるやろ
 他紹介したるからそっち行きや」

自分よりも適任というのは建前で
ただその役を請け負うことを避けるための言い訳であった
とはいえ那須や出水といった天才と呼ばれる実力を持つ
シューターが知り合いにいるのだから
紹介してそちらに任せればいいとも思ったのだ
しかし目の前のこの子は納得しなかったのだろう
不服そうに顔を歪めた
その後1日だけでいいからと何度も頼み込まれ
結局折れたのは自分だった

ランク戦前の貴重な時間を違うことに使うのは
勿体無い気もするが約束を破ることもできず
ランク戦ブースにいたのだ
そこに雨宮が来るとは思っておらず
その姿を確認した時は少し驚いた
同じボーダー内にいるはずなのに
その姿を見ることはほとんど無く
迅さんの隣を歩いていると全く別人のように見えた

その時には既に緒音ちゃんに教えられることは
全て教え終わった後で
イコさん達を待っていなかったら
話しかけにでも行ったのかもしれないと
また大きく心の中でため息を吐いた

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作者名:lei | 作成日時:2023年9月15日 23時

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