重なる記憶に願いを込めて (ページ2)

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伝えなくてはならないことページ2

本部の廊下は相変わらず真っ白で
歩くたびにコツコツと靴のなる音が響いた
前を歩く彼は玉狛の青いジャージを靡かせ
もう私のほうを振り返り確認することはない
ある1つの扉の前で立ち止まった彼は
3回ノックをして中からの返事を待たず
扉を開けた部屋の中にはいつもと同じように司令室の
椅子に腰掛ける城戸さんと
入って左側に立つ風間さんがいた
久しぶりに見るその姿は何も変わっておらず酷く安心する

「全員揃ったな」

迅のその一言で3人の視線は私に集まる
この威圧的な空間で私だけが場違いな感じが否定できない
「前に伝えた通り
　そろそろ話さないといけないと俺は思ってる」
迅の言葉に城戸さんと風間さんは
特に反応を示すわけではなかった
しかし城戸さんは机の引き出しの鍵を開け何か取り出した
そして「迅」と抑揚の無い声で彼を呼んだ
呼ばれた迅は城戸さんの机の上に置かれたものを手に取り私の前に立った

「まず話す前にこれを見せないといけない」

迅は折られた布をゆっくりと広げていった
そこに現れたのは

『ブラック……トリガー？』

誰のものなのか聞こうとした時また頭に痛みが走った
ここ最近頻繁に起こるこの頭痛は
痛みを増すばかりで治る気配が無い
あまりの痛みに手で頭を抑えた

「そしてもう1つ伝えなければならないことがある」

城戸さんはそう言った
私の前に立つ迅は右に避け私は
城戸さんと向かい合う形になった
机に肘をついていた城戸さんはゆっくりと上体を起こした

「霧宮隊隊長霧宮透也は既に死亡している」

頭の痛みなんて分からなくなった
そして膝から力が抜けた