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あぁ、もう無理だ
考えすぎて頭がショートしそうだ
『はぁー』と深く息を吐いた
画面が真っ黒になったスマホを握りしめて俯いた
もうどうしようもないな
せめて花火が終わるまでは残って
人が少なくなってから3人を探そう
花火が終わればもう帰ってしまっているかもしれないけどそれならそれでいい
逸れてしまったのは自分のせいだから
そう思って端の方へ移動しようとした時だった
いきなり強い力で肩を掴まれた
声は上げなかったものの
驚いて勢いよく相手の手を振り払った


しかし見上げれば肩で息をする汗だくの隠岐だった
彼にしては珍しく眉間に皺が寄っているし
女子を避けるためにつけていたキャップを外し
額に浮かぶ汗を拭った


『…‥ぇ、あ…の』


1人逸れてしまったこと
ここまで走らせてしまったこと
謝らなくてはならないと頭では分かっているのに
口から出てくるのは言葉にすらならない音
キャップを被り直した隠岐は
焦るようにスマホを操作した後
「ちょっと走るで」と言って私の手を握って走り出した
何処に向かっているのか
なぜそんなに焦っているのか
分からないことばかりで声をかけようとした時
空へと上がる高い音と真上から聞こえる大きな爆発音
音が聞こえたと同時に私達は立ち止まった
強く握られていた手の力は少し弱くなったが
離されることはなく繋がれたまま
綺麗な夜空とは裏腹に隠岐は肩を落として
「始まってもうたぁ…」と弱々しく呟いた

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作者名:lei | 作成日時:2023年4月28日 13時

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