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「すみません、サランさんという人がここの病院にいると思うんですけど、」





今日も今日とてサランさん探しは続いていた。






あれから3日、週の半分まで来てしまった。






そう簡単に見つかるとも思っていないが、1日に何件も病院に行き、そのたびに撃沈する。






気が遠のくような繰り返しにため息の1つも溢れてしまう。






「ごめんなさい、今入院中の方にはいらっしゃらないですね」





「そうですか、病院移っちゃったのかな?じゃあこの写真の女の人見たことないですか?」





このフレーズももう何度目になるだろうか。






いるはずのない人を尋ねることに罪悪感はあるが、仕方がない。






「うーん、ちょっとわかんないなぁ。
あ、この写真の人見たことある?」





看護師さん同士で尋ね合ってもらうのも、もう何度目になるだろう。





「うーんわかんないです、すみません」





「そうですか、ごめんなさい、時間取らせて」






気を取り直して、次の病院に向かう。





電車の中で、手帳に増えるバツマークを眺めていると携帯が鳴った。





「・・・もしもし。すみません、今電車の中なのでまた掛け『A?』





「テヒョンさん・・・」





「はぁ・・・やっと繋がった」





あれからテヒョンさんからの連絡は今まで以上に来るようになった。





そのたびに、電話は無視、カトクは未読のまま消してを繰り返していたのに、






名前を見ずに電話に出てしまった自分が憎い。






「・・・すみません、電車なので」





そう一言残し、電話を切った。






揺れてはダメ、流されてはダメ、





必要とされていることを喜んではダメ、





もう一度鳴り始める携帯の電源を切ってカバンの奥にしまった。





だってそうでしょ、





サランさんとテヒョンさんを会わせられた時、私の存在理由なんて無くなってしまう。





だったら、もう必要となんてされなくていい。






どうせいつか野に放たれるなら、今自分から飛び出したほうが楽だ。





ごめんなさい、結局私も自分が一番可愛いんだ





電車から降りて、携帯で地図を開こうと出そうとしたところで、すっと1人になった自分の姿が頭をよぎった。





「〇〇病院ってどっちですか?」





掴みかけた携帯をもう一度しまい、駅員さんに尋ねた。

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(プロフ) - alexandrite_bbcさん» なんでいつもそんなに嬉しいこと言ってくれるんですか!笑 本当にありがとうございます! (2018年2月18日 0時) (レス) id: a074edcd70 (このIDを非表示/違反報告)
alexandrite_bbc(プロフ) - ●さん» じっくり読み返してつくづく思ったのですが、このお話、本当に名作だと私は思っています^^私、twitterでも占ツクでもかなりの数のお話を読んでますが、本当に素晴らしい作品だと思っていますのでこれからもじっくり読ませていただきますね^^ (2018年2月16日 16時) (レス) id: 35241c8ff2 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - alexandrite_bbcさん» いつも本当にありがとうございます!少し物語をサラサラ〜と進めすぎた感じが否めませんが、ここからどうにか頑張ります 笑! (2018年2月16日 14時) (レス) id: a074edcd70 (このIDを非表示/違反報告)
alexandrite_bbc(プロフ) - 1から読み返して来ました^^テテ、どうなるのかな?更新とても楽しみに待っております^^ (2018年2月16日 12時) (レス) id: 35241c8ff2 (このIDを非表示/違反報告)
alexandrite_bbc(プロフ) - 胸がぎゅっと苦しいのがずっと続いてます( ;∀;)はぁ...どうなるのかな…更新楽しみに待っております!! (2017年12月10日 6時) (レス) id: 1a1f2fe310 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2017年12月3日 20時

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