34-JM- ページ33
「あーもう、俺何してんだ」
純粋に手を伸ばしたかったのは、俺の方だろ
でも届かない。届かないからそれをテヒョナに託して、ヒーローにでもなったつもりなのか、
怖かったのは、俺の方だろ
一度だってAに拒絶されたら、もう立ち上がれないから逃げ出した。
それで納得できれば良いのに、胸を覆うこのモヤモヤがいつか消えてしまうなんて思えない。
消えて行くことが怖い。どれだけ走って、走り続けても逃げられない。
テヒョナが去った今も、いまだそちらを見ることもできない。
直視できない現実は、いつでも俺を取り巻いて、いつまでも俺を苦しめる。
『ジミナ』
今、君が俺を呼んでくれたら、どこにだって行くよ。
俺をそっちに連れて行ってくれないか、
ここで座り込む俺を無理やりにでも引っ張っていってくれないか、
『ジミナ』
泣かないでA、
俺が幸せにしたかった。
できることなら、テヒョナを選ばないで。
テヒョナにはあんなことを言っておいて、未練がましく未だそんなことを考えてる。
「・・・あ、」
飛行機雲が伸びる快晴の空の下で、潰れた虫がまだその命を燃やし、必死に動いていた。
もう無駄だよ、諦めた方が楽になれる
まるで自分に言い聞かせているようだった。
俺にとって、テヒョナなんて関係なかった。
ただ逃げる口実が欲しくて、それがそこにちょうどいたテヒョナに向いただけだったんだろう？
あの飛行機雲はずっと続いて、どこかの行き先に辿りつくのに、
俺は巣に戻ることもできないまま、ここでそっと生き絶えて行く。
ああ、極限まで行くともう涙なんて出ないんだ
ただ放心として、視界が揺れるだけ。
周りの目も気にせず、フラフラと歩き出す。
ああ向かう先がAのところだったらいい。
『ジミナ』
向かう先にAが待っていてくれたらいい。
『ジミナ』
愛おしい、こんなに愛おしいよ。
『ジミナ』
もうやだよ、もう見ているだけなんて俺はやだよ
『ジミナ』
歩幅が広がり出し、俺は走り出した。
『ジミナ』
今度こそ、君の居場所がここだと。
俺の居場所がそこだと伝えさせて。
テヒョナ、俺ももう逃げないから。
「・・・Aっ」
俺もあの飛行機雲になりたいんだ。
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●(プロフ) - ぐう 大好きさん» ありがとうございます！！そう言っていただけるととてもがんばれます！: ) (2017年11月22日 0時) (
レス) id: a074edcd70 (このIDを非表示/違反報告)
ぐう 大好き - 面白いです！これからも、更新頑張ってください！ (2017年11月20日 14時) (レス) id: fb77e59d2e (このIDを非表示/違反報告)
alexandrite_bbc(プロフ) - 描写がとても綺麗な文章で映画のワンシーンの様でした。とてもとても素敵なお話ですね。これからも更新楽しみに待っております(*^ω^*) (2017年11月10日 19時) (レス) id: 1a1f2fe310 (このIDを非表示/違反報告)
●(プロフ) - alexandrite_bbcさん» 惹き込まれるなんて褒め言葉が過ぎて、バンザイで喜んでます！読んで下さって本当にありがとうございます！！ (2017年11月9日 11時) (レス) id: a074edcd70 (このIDを非表示/違反報告)
alexandrite_bbc(プロフ) - 惹き込まれてしまいました。更新楽しみに待っております。 (2017年11月8日 11時) (レス) id: 1a1f2fe310 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ファサファサ翼 | 作成日時：2017年10月24日 22時
