都合のいいワタシとさよならテヒョン

26-TH- ページ26

A今どこにいるの？





これが最後だと、さよならと言って俺をおいて去って行った君は、随分とたくましくなっていた。






そんなのAじゃないよ、俺にすがって、俺なしじゃ生きて行けない。それがAでしょ？






「あれ、バンタンのVじゃない？」






通りから聞こえた声に急いでフードを被り、逆方向に歩いた。






またジミナにすがってる？俺じゃなくて？





そんなの信じられない。信じたくない。






彼女今日うちくるんじゃなかったの?





違う、違う。






自分の身勝手さに嫌気がさす。






Aを傷つけて、彼女を傷つけて、俺は一体何がしたいんだろう。





それでも今そばにいて欲しいのが誰かなんて、そんなの明白で。





いつからこうなった？





こうなったんじゃなくて、俺がこうしたんだ。





ただ無性に腹が立つ。






Aにも、ジミナにも、自分にも。






Aは疲れたと言った。それならもういいじゃないか。彼女が俺を家で待ってる。





それを俺は守っていけば、それでいいじゃないか。






それなのになんで、なんでこんなに悲しくて、苦しい？






ジミン何がしたいの?






お前に関係ないだろ、そう途中まで打って携帯をポケットにしまった。





「・・・関係、あるんだよな」





ごめんなジミナ。お前がAのこと好きなことずっと知ってたよ。






ずっと知ってて見て見ぬふりを続けた。






ジミナが必死に追いかけるAは俺のことが好き。






それがどうにも嬉しかった。胸糞悪いくらいに性格が曲がってる。






なのに、送られてきたカトクにAを幸せにできるのがジミナだと言われているようで、






お前はもう用済みだと言われているようで。





全て俺が蒔いた種なのに、全部Aやジミナのせいにして逃げ出してしまいたかった。





逃げたら少しでも楽になれるんだろうか、





そんなのわかってる。




誕生日前日のあの日、Aを追いかけなかったことで今こんなに苦しんでるのに、






全てを投げ出してしまったら俺はもうどうなってしまうんだろう。





タクシーを拾い、繁華街を写す車窓を眺めながらそんなことを思った。






流れる景色の中で、Aとジミナの姿が鮮明に見えた気がした。






A。でも今日は、もう知らないフリをさせて。









-------------

彼女の名前がつけられませんでした( ˙-˙ )

27→←25

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す