23 ページ23
「返してっ」
「・・・お願い、Aどっか行かないでよ」
そういって私の対面に座り込んだテテの呼吸は大分荒れていた。
「テテの、テテの居場所はここじゃないよ」
「・・・じゃあAの居場所はどこ?」
「私の、居場所は・・・」
「俺んとこじゃんね？」
「・・・違うよ、違う」
「じゃあなんで泣いてるの？俺のこと嫌いになった？」
嫌いになんてなるわけない。
嫌いになれないからもう離れるしかなかった。
「携帯、返して・・・」
「返事して」
「やだよ、やだやだ」
テテは駄々をこねるように首を振る私の背中に手を回した。
「やだ、やめて、やだから」
「俺もやだ、やだよ」
「ジミナ、ジミナ助けて」
「・・・なんでジミナなの、なあ！！」
声を荒げても、テテの手は一向に背中から離れない。
「・・・もうやめてっ、もういいじゃん」
「なにが？」
「もう傷つきたくない、もうテテのそばに居たくないっ、」
「っ！・・・それでも、俺は離さないから」
呼吸を整えて、テテの肩に落ちていく涙を拭った。
「この前言ったのが、全部だよ。
私はテテが好きだったから、でももうちょっと疲れちゃったよ。
テテが好きなの、疲れたよ」
道行く人がだんだんとこちらに気付き始め、焦ったのか抱きしめていた手を離して、その代わりに私の肩に両手を置いた。
「・・・ごめん、いっぱい傷つけた。
でもAが必要だよ、」
俯いたテテの頬から落ちた雫がアスファルトを黒く染めて行く。
やっぱり私はあなたがわからない。
あなたが泣く必要なんてどこにもない。
可愛い彼女と大切なメンバーと、それだけでもう十分じゃない。
私に無いものを沢山持ってるじゃない。
「・・・テテがわからないよ。これが最後だよ、さよなら」
座り込むテテを置いて、携帯とカバンを手に路地裏から出た。
もう友達にも戻れない。
昔みたいには笑い合えない。
それがまた胸を苦しくさせる。
化粧がぐしゃぐしゃに落ちた私を街行く人が見てくるけど、そんなことどうでもよくて、
♪〜
「・・・」
『A？』
「・・・っ、」
『A？聞こえてる？』
聞こえてるよ、ジミナ。聞こえてるけど、言葉が出ないの。
苦しくて苦しくて、一言だって出てこないんだよ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1151人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
●(プロフ) - ぐう 大好きさん» ありがとうございます！！そう言っていただけるととてもがんばれます！: ) (2017年11月22日 0時) (
レス) id: a074edcd70 (このIDを非表示/違反報告)
ぐう 大好き - 面白いです！これからも、更新頑張ってください！ (2017年11月20日 14時) (レス) id: fb77e59d2e (このIDを非表示/違反報告)
alexandrite_bbc(プロフ) - 描写がとても綺麗な文章で映画のワンシーンの様でした。とてもとても素敵なお話ですね。これからも更新楽しみに待っております(*^ω^*) (2017年11月10日 19時) (レス) id: 1a1f2fe310 (このIDを非表示/違反報告)
●(プロフ) - alexandrite_bbcさん» 惹き込まれるなんて褒め言葉が過ぎて、バンザイで喜んでます！読んで下さって本当にありがとうございます！！ (2017年11月9日 11時) (レス) id: a074edcd70 (このIDを非表示/違反報告)
alexandrite_bbc(プロフ) - 惹き込まれてしまいました。更新楽しみに待っております。 (2017年11月8日 11時) (レス) id: 1a1f2fe310 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ファサファサ翼 | 作成日時：2017年10月24日 22時
