#ヌナに感謝を ページ39
照明も当てられていない
すっかり影を落としたそのセットの中で
ヌナは静かに泣いていた。
いつも僕たちに見せるのは元気で、明るくて、
だいぶ曲がっているけど愛らしい一面で、
そんなヌナが笑っていないだけで心がざわついた。
薄暗い中でまたヌナの頬に涙がつたった。
そこからはもう完全にヌナの作戦通り、ジュニヒョンの咳払いで僕は無事カットを取り終えると、急に演技のハードルを上げた僕に監督さんは満足そうに頷いていた。
「カット!いいね!すごくよかったよ!
どうしちゃったの?急に良くなったじゃない!」
ええ、そうなんです。
うちのヌナが向こうのセットに隠れていてくれて…
そう口から出るすんでの所で
「ドギョマ〜、やっといつも通りになったね」
あれ、さっきまで向こうにいたのに。
「この子、演技も上手なんです。
いつかドラマとか出られるといいね」
ヌナがふわっと笑うから、さっき見たのは幻覚かと思ったけど、
その頬に若干涙の跡があるからやっぱり本物だった。
いくらショートムービーを完成させるためとはいえ
ヌナを泣かせてしまったお詫びにカフェでスムージーをご馳走することを提案したら
代わりに制服の写真を撮らせてくれと言われたけど断ってカフェに行った。
「ヌナ、何で監督さんに言わなかったんですか?」
「うん?なんのこと?」
「僕のこと助けてくれたじゃないですか」
「あぁ、あれね」
そこまで言うとやっとヌナは合点がいったような顔をしてから、ニコッと笑った。
「だってドギョマのドラマ見たいんだもん!
押し売りしとかなきゃダメでしょ?
ドギョマのドラマなんてあったらセリフ覚えるまで見るよ」
「ふふっ、不順な理由。ヌナが泣いてるの見て、心が苦しかったのに」
「ふざけてないんだけど?」
「その時は共演しましょうね」
「絶対いや、ドギョマと美女が結ばれる話しか認めん」
「てかそれより僕とAの共演が先じゃない?」
そう言ったジュニヒョンにヌナがまた首を横に振った。
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ドアノブ(プロフ) - めっちゃツボです…!思わず拝みそうになりました…主人公ちゃん含めセブチ可愛いが過ぎる…ありがとうございます… (2020年8月28日 19時) (レス) id: b5f2c25d52 (このIDを非表示/違反報告)
ナオ(プロフ) - ちゅんちゃんさん» 素敵なコメントありがとうございます!心を込めて書いたので嬉しいです(^^)ちゅんちゅんさんも素敵な小説を書かれていて、私も拝読しており、楽しみにしています!コメントありがとうございました! (2020年7月16日 16時) (レス) id: 76734e0b15 (このIDを非表示/違反報告)
ちゅんちゃん(プロフ) - なおさんの小説全部読みました、とくにharuが大好きで…!いつも拝見しております!忙しいと思いますが、更新楽しみにお待ちしております!本当に楽しい雰囲気の小説で大好きです! (2020年7月16日 11時) (レス) id: 9b4c1ba7dc (このIDを非表示/違反報告)
ナオ(プロフ) - なつみさん» 嬉しいコメントありがとうございます!本作も読んでいただけて嬉しいですし、とても励みになります!あら!それは何よりです!^^かっこいいですよね〜! (2020年5月16日 19時) (レス) id: 193db4ca5a (このIDを非表示/違反報告)
なつみ(プロフ) - なおさんの作品が大好きで、今回も楽しく読ませて頂いてるのですが、まさか気象系が出てくるとは思ってなくて、私の推しグルのコラボにめちゃくちゃテンションあがってます!!ありがとうございます!! (2020年5月16日 15時) (レス) id: be4c175b80 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ナオ | 作成日時:2020年5月15日 22時