僕達の終わり２【SVT＊HARU】

雨（HR　★追加 ページ30

あの日も雨が降っていた。

なに泣いてるの。

兄からの質問に返事もできずに泣いていた。



指先にはめられた脈拍計が
僕の心拍が速くなった事を
電子音でわめきながら知らせている。


どうしたの。


兄に返す言葉が見つからなくって
持っていたスマートフォンの画面を見せた。


2019 JAPAN TOUR

“HARU”


兄は僕にかける言葉を探してから
よかったね、とだけ言った。


コンサートはちょっとお勧めできないなぁ
困った顔でそういった主治医の先生も
最後は楽しんでおいで、って手を振ってくれた。


ちゃんと自名義で当てたアリーナ席は
思ったよりずっと近くて
間近で見るヒョン達はもう別人だった。


僕があの中に入っていたかもなんて
もはや想像もできなかったし
僕が少しの間でも一緒にいたなんて嘘に思えた。


でも、ツアーの名前と
ヒョン達が呼んでくれた名前が
一緒なのは偶然じゃないよね？


「人混みすごいからもう少ししてから行こう」

ライブが終わって立ち上がると
兄がそう言って僕を座らせた。

「ん、分かった」

男の人なんてほぼいなくて
居づらいだろうに。

ありがとうって今度ちゃんと言おう。



そう思った時だった。

「ケンチャンイムニッカ(大丈夫ですか)？」
「あ、ネ(はい)
ケンチャナヨ(大丈夫です)」

反射的に韓国語を返した。

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