通りすがりのレモン (ページ3)

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守る。ページ3

貴方視点

貴方『わ、私もここ隠れていい？』

トン「……」

貴方『トントンくん？』

トン「……俺と関わらん方がええで」

関西弁？

貴方『何それ。自分の事は自分で決めるよ。』

トン「そうか…」

貴方『……そ、それよりも、いじめられるの辛くないの？』

トン「……」

あ、困ってる

貴方『っ、変な事言ってごめんね。いやなんとなく気になっただけで……』

トン「つらい、けど……俺の味方なんて、1人もおらん。」

私は少し考えた。

貴方『……私が居るじゃん！』

気づいたら答えていた。

トン「？！」

ビックリしてる。でも、1番驚いたのは私だ。

貴方『私が、守ってあげる！』

どうして、こんな事を言えるのかは分からない。でも、絶対守ってあげたい。

貴方『……守ってあげなきゃいけないの』

トン「嘘や……」

貴方『え？』

トン「皆そう言って、近づいて、いじめられて、怖くなったり、一緒にいて楽しくなくなったら離れていくんや！」

半泣きで怒鳴りつけるように私に言う。
その言葉は、寂しさと悲しみと怒りが告げているのだろう。

トン「これ以上、こんな気持ちになるなら……」

貴方『っ』

トン「俺に近づかんといて！！！」

さっきと、同じ人に見えない。
瞳の光が無くなり、なんというか、

怖い。この私が涙を流すぐらいに。

貴方『っ』

トン「あっ……す、すまん。」

ザッ、

貴方『やばい、誰か来た。』

トン「……」

貴方『……私、行くね』

頬から垂れる雫を拭き取り、歩き出す。

でも、この時誰かに見られていたということは誰も知らず、2人の心は傷付くだけだった。

それがのちのち面倒なことになるとも知らずに。