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「はぁ〜あ!振られちゃったぁ!」
青子ちゃんはそう叫んで天を仰ぐ。
その横顔は、夕焼け色に染まっていてとても綺麗だった。
「でも、快斗には青子よりもっとお似合いの人がいるってコトだよね。もちろん青子にも、快斗なんかよりずぅっと素敵な人がいる…………だから」
こちらを向いた青子ちゃんの顔は、大粒の涙で濡れていた。
その涙は陽光を反射してキラキラと輝いている。
「だから、青子の分まで……快斗と幸せになって!!」
「青子ちゃん……」
「頑張りなさい!!」
そう言って肩を叩いて応援してくれる。
その力はとても強くて痛いほどだったけれど、その分、青子ちゃんの気持ちが力強く伝わってくる。
「っていうか、私の好きな人………」
「快斗でしょ?知ってるんだからね!青子には何でもお見通しよ!」
ふふっと顔を見合わせて笑う。
なんだかとても良い気分だった。
.
その夜。
「紅子ちゃんのおかげだよ、っと……」
屋上でちゃっかり紅子ちゃんの連絡先を手に入れた私は、ベッドの上に寝転びながらメールを送った。
するとすぐに返信がきて……
『私は何もしてないわ。あなたの努力の結果よ。これからは黒羽くんを堕とす為に頑張るのみね!』
黒羽くん……って、紅子ちゃんも私の好きな人知ってたの!?
そんなにバレバレかなぁ?
そう思いながらスマホの画面に指を滑らせると、ある文に目が止まった。
『そうだ、また怪盗キッドが宝石を盗むらしいわよ。一緒に見に行かない?』
怪盗キッドというフレーズに胸を踊らせてテレビを点ける。
ちょうどニュース速報でその話題が出たところだった。
『怪盗キッドが、今度はムーン・ラバーという宝石を盗むと予告状を出しました』
ニュースキャスターの落ち着いた声を聞くと、興奮を抑えきれずに、思わず紅子ちゃんに電話をかけた。
「行こう、怪盗キッドとムーン・ラバーを見に!」
「ええ、そうね……中森さんと黒羽くんも誘いましょう」
クスリと笑う声が聞こえて、ドキリと心臓が鳴り顔に熱が集まるのが分かった。
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華美 - 木実こむぎ@Project KZ副隊長さん» 初期の頃からですか!ありがとうございます嬉しいです!これからも頑張ります〜 (2019年6月21日 19時) (レス) id: 06514a18af (このIDを非表示/違反報告)
木実こむぎ@Project KZ副隊長(プロフ) - うわぁぁあ( ;∀;)終わってしまった、、、初期の頃から読ませていただいてました!番外編待ってます!( ´ ▽ ` )ノこれからも頑張ってください! (2019年6月21日 18時) (レス) id: 7f9bbdec25 (このIDを非表示/違反報告)
華美 - 雨上がりのcrewさん» わわ、ありがとうございます!これからもよろしくお願いします! (2019年6月19日 10時) (レス) id: 06514a18af (このIDを非表示/違反報告)
雨上がりのcrew(プロフ) - すごい。。。この作品私得←これからも更新頑張ってください!! (2019年6月16日 15時) (レス) id: 11f12a305b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:華美 | 作成日時:2019年5月7日 21時