尊敬と羨望【回想】 ページ44
秀兄の部屋で真純と彼を待っていた。
「秀兄ってカッコいいよね!」
「ねー! なんで、あんなにかっこいいのかな」
あの頃、秀兄は髪を伸ばすと言っていた。
今も伸ばしているの?
髪の長い秀兄はあまり想像できない。
でも、秀兄の事だからきっと似合う。
「A、秀兄と結婚したい!」
「ボクも妹じゃなかったら秀兄とするんだけどなぁ」
「コラ、ガキがませた事言って」
「「秀兄!!!」」
今となっては顔から火が出そうな事を言っていたものだ。
もっとも秀兄に対する感情は恋愛でなく憧れや尊敬、羨望だったのだろう。
今も秀兄はあこがれであり尊敬の対象である。
最も、恋愛感情はない。
好きだけどお兄さんみたいなもので、
秀兄との結婚生活なんて想像もつかない。
きっと、あの生活の延長線。
「ねぇ、秀兄? Aが大きくなったらAと結婚してくれる?」
すると、秀兄はどこか嬉しいようや哀しいような笑みを浮かべた。
「そう言ってくれるのはありがたいが、きっとAちゃんも大きくなったら気が変わってしまうから俺は哀しいな」
「そんな事ないよ?? Aはずっと秀兄が好きだよ?」
とんだマセガキだ。
「ボクもAと秀兄が結婚したら嬉しい! そしたら、あれ? ボク達は姉妹になるのか?」
「真純と姉妹!? 楽しそう! A一人っ子だから絶対楽しい!」
勝手に盛り上がるボク達。
「さぁさぁ、ベットに入って。寝るんだろ?」
「「うん!」」
僕、秀兄、真純の順で川の字になってベットに入る。
秀兄のベットはふかふかで暖かくて気持ちが良かった。
「さっきの話だが、Aちゃんが大きくなっても気持ちが変わらなかったら結婚しようか」
「うん! Aずっと秀兄の事好きでいる!」
へっへへへへ! と僕は笑い掛け布団を頭までかぶった。
それを剥ぐ秀兄。
目と目が合った。
僕はじーっと秀兄を見ていた。
秀兄がどこか遠くへ行くのが嘘のようだった。
明日も明後日も来年も。
秀兄は僕達の隣にいるものだと信じていた。
でも、彼は旅立ってしまった。
今思えばしょうがない。当たり前で必然だった。
「ぎゃ!」
秀兄がいきなり髪ををわしゃわしゃと雑に撫でた。
「ほら、寝るんだ。明日は動物園だろ? 早く寝ないと起きられないぞ。起きなかったら置いていくからな」
「わ! それは嫌! A寝る。あれ? 真純は?」
「真純ならもう寝たぞ」
「そっかぁ」
「あぁ、Aちゃんに頼むのもあれなんだが……」
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英 優美(プロフ) - 一夜さん» 誤字すいません 汗 ありがとうございます!! 頑張って更新していくのでこれからも応援してくださると嬉しいです(((o(*゚▽゚*)o))) (2017年4月19日 15時) (レス) id: b3edc07717 (このIDを非表示/違反報告)
一夜(プロフ) - 所々ある誤字が気になります、でも作品自体はとても読みやすくて凄く面白いです!更新楽しみにしています!頑張ってください! (2017年4月19日 12時) (レス) id: 51c5ddc8ab (このIDを非表示/違反報告)
秋瀬麗香 - 私は「」の前に名前つけないほうがいいと思いますよ。名前をつけるのはいわゆる台本書きというもので、あくまでもこれは小説なので。名前がついている作品は誰が話しているのかわからないからつけているので区別がつくこの作品には必要ないと思います。 (2017年2月26日 15時) (レス) id: 128b0735b5 (このIDを非表示/違反報告)
あいり - アドバイスなんですけど、「」の前に、名前を表示したほうがいいと思います。私、2年くらい読んでいるんですけどほとんどの小説は「」の前に名前が表示してあったので・・・・・ (2017年2月2日 16時) (レス) id: b20c59240a (このIDを非表示/違反報告)
英 優美(プロフ) - ありがとうございます!! これからも頑張って更新していくので引き続きご愛読頂けると幸いです(((o(*゚▽゚*)o))) (2016年11月8日 23時) (レス) id: b3edc07717 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:英 優美 | 作成日時:2016年6月26日 0時