【名探偵コナン】僕の幼馴染はFBIと棋士と高校生探偵で想い人は公安警察官

水と麦茶【回想】 ページ42

「まま？」

そう言って真純はリビングへの戸を開けた。

「真純？ Aちゃん？」

秀兄が言った。

「今の話聞いていたのか？」

「うんう」

「聞いてないよ」

なんとなく、聞いちゃいけない話のような気がした。
もっとも、子供に聞かれても内容が理解されない話だが。

「まぁいい。どうした眠れないのか？」

「うん。それと、喉が渇いちゃって」

「そうか。秀一、何か飲み物をやって一緒に寝てやれ。私はやる事がある」

「あぁ。考えて置いてくれよ」

「あぁ」

「「？？？」」

やっぱり僕等の頭にはハテナが浮かぶ。

「真純、嬢ちゃん。何がいいか？」

秀兄は僕の事を名前呼びしたり嬢ちゃんって呼んだりする。
その違いは？ 今、会ったら何て呼ぶ？

「うーん、オレンジジュース！」

「Aも！」

すると秀兄はふわりと笑い

「余計に喉が乾くだけだぞ。せめて麦茶か緑茶かお茶の類にしろ」

「？」

「たぐい？」

「あぁ、麦茶や緑茶。お茶の何かにしろ って意味だ」

「なるほど！」

「なるほど」

「じゃあ、麦茶！」

「Aも！」

「よし。待ってろ」

そう言って秀兄はプラスチックのコップに麦茶を入れてくれた。
そのコップには可愛いイラストが入っていた。

「真純のおうちの麦茶って美味しいよね〜」

「へへへ！ ままが作ってくれるんだ！」

「いいなぁ、Aはいつもお水だからなぁ。だから真純のおうちの麦茶好き。幼稚園のはあんまり美味しくないもん」

「ね！ 幼稚園の美味しくない！」

多分、幼稚園の麦茶は希釈しすぎだったんだろう。
そして、母が酒やアイドルに貢ぐ為に僕に金を使わないように水だったんだろう。

流石に小学校に上がりおかしいと気付きちゃんとした飲み物を飲めるようになった。

中学生にもなると勝手に作る様になった。
お弁当すら作ってくれなかったし。

「さ、早く寝るんだ。明日は早いんだぞ？」

明日は秀兄とチュウ兄が動物園に連れて行ってくれるんだ約束だった。
多分、これが最後のお出掛け。
子供ながらになんとなく気が付いていた。

「寝られないの。秀兄も一緒に寝よ？」

「まだまだ子供だな」

「「？？？」」

「まぁ、良い。支度をするから俺の部屋でまってろ」

「うん！」

「やったね！」

僕らはそう言って秀兄の部屋に行った。

秀兄の部屋はいつも綺麗に整頓されたいた。
沢山の本が詰まった本棚。
そこには沢山のミステリー。
新書もあったかな。

秀兄のお陰で本が大好きになった。
本は僕の逃げ場。

阿久根と甲斐【現在】→←デジタルとアナログ【現在】

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す