【名探偵コナン】僕の幼馴染はFBIと棋士と高校生探偵で想い人は公安警察官

階級と時計【現在】 ページ26

ふと、目が覚めた。
手はまだ握られてる。

そして、零さんは……

寝てる？

そーっと上半身を起こして顔を覗き込む。
わ、綺麗な顔してる。髪の毛もサラサラじゃん。
そっと握っていない方の手を伸ばした。

え？

気が付いたら零さんの頭を撫でていな。
なんて大胆な。

その髪は柔らかくてさらさらで気持ちよくて。

やめろ、僕。何をしているんだ僕。

相手は推定20……
いくつだ？

さっきの部下っぽい人って年上っぽいよね？
なのに、向こうはタメだったし。
つーことは、零さんのが上。

警察は
巡査
(巡査長)
巡査部長
警部補
警部
警視
警視正
警視長
警視監
警視総監
って下にいくほど偉くなるわけじゃん？

って事はブケホ(警部補)以上
あの若さで警部補、
頑張ればありえるけど、
警部補って風格じゃないもんな、
じゃあそれ以上？

キャリアさん？

散々考えたけど、年齢もわかんないし、
階級もわかんないし、
あーあ、

知り合って1日だから当たり前っちゃ当たり前だけど、僕は零さんの事何も知らない。

零さんは僕のフルネームも学校も年齢も知っているというのに。

知りたい。

「零さん……」

その時、トントンとノック音がした。
小さい声で

「どぞ」

そう言った。
すると、

「降谷さん！！」

さっきの部下らしき人が大声で零さんを呼んだ。

「うるさいな、風見」

この人はカザミさん。
字面は風見かな？

「Aさんに迷惑だろ」

「あ、すいません。緊急事態です！」

「わかった。今いく」

握っていた手をそっと離して申し訳なさそうに優しく微笑んだ。

「大丈夫。すぐ戻るから」

「あ、はい」

「風見、外に見張りを付けておけ」

「わかりました」

そう言って2人は足早に出ていった。

あれ？ やっぱりあの後ろ姿知ってる。
いつ見たんだろう。

なんか、もっと大きな事が起こって遠くに言ってしまった気がする。

あれ？ 今、何時だろう？
左の手首の内側を見やる。

あれ？

腕時計がない。

「嘘ｯ ！」

嘘、なんでないの。
秀兄からのプレゼント。
最後にもらったプレゼント。

電池が切れても入れ替えて、
買い替えの方が安いよって勧められても修理し続けた腕時計。

あれがなくなったら、僕は……

あぁ、腕時計……


✄✄✄

「Aさん!?」

「あ。はい、」

「どうかされました!?」

僕はショックのあまり体育座りの形で俯いていたのだ。

「僕の腕時計、知りませんか!?」

「腕時計？」

「はい、だいぶ古いヤツなんですけど……」

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