Episode TOW-2 ページ6
翌日、良く晴れた土曜の朝、プレゼントを買う為、招待された時間より早く家を出る。
パパの部下が一緒に行くって煩いから、従ったフリをして、そいつが準備してる間にこっそり抜け出してきた。
別に、嫌いじゃないんだけど、私だってたまにはひとりでお出かけしたいし、そもそもそんな子どもじゃないもん。
皆んなはお仕事してないけど、私は立派に仕事してるし。
別に、良いじゃん。
米花デパートに着くとおもちゃ売り場に向かう。
深雪ちゃんはくまが好きって言ってたからくまのぬいぐるみをプレゼントする。
くまのぬいぐるみを探していると売り場にはもう見ている子がいた。
同い年くらいの男の子と女の子だ。
「ねぇ、新一、このくまが1番可愛いと思わない？」
「そんなの、どれも一緒だよ」
「一緒じゃないもん！ 微妙に違うもん！」
女の子はくまの種類じゃなくて、同じ種類のくまの顔が全部ちがうと怒ってる。
「なんでもいーじゃん。早く決めようぜ」
男の子はもう、飽きている。
私も、早く見つけて美雪ちゃんのお家に行かないと。
これにしよ。
そう思ってくまに手を伸ばしたらさっきの女の子と手が重なった。
「「あっ」」
どうしよ、
「あ、どうぞ」
「いいよ、あなたが買って？」
「私、プレゼントだから別にどれでも良いの」
そう言って、手を引く。
「私も、プレゼントだけど、プレゼントだからこそ、しんけんに選ぶんじゃない？」
お顔の可愛い、女の子だった。
「……良いよ、あなたのほうが先に見てたみたいだし。あなたの方を見てる気がする。もらって」
そう言って、私はその可愛い子にくまを押し付けて、隣にあったくまを無造作に掴んだ。
くるりとその子に背中を向けて、ぬいぐるみ売り場を後にする。
なんか、モヤモヤする。
「ありがとう！ ごめんね、ありがとう！」
なんか、モヤモヤするし、くすぐったい様な変な気がして気持ち悪い。
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作者名：英 優美 | 作成日時：2021年7月21日 21時
