Episode THREE - 1 ページ11
私が袖を掴んでいる男。
彼が犯人なのは間違いない。
「そういう、お前、ガキのくせに驚かないな」
犯人の男は、私を見下ろしている。
上から下への攻撃は力が入れ易いから気を付けろってぱぱから教わっている。
だから、私は最大限の警戒をしている。
今のところ、攻撃の気配はなし。
「まぁ、私は慣れてるから」
フッと口元だけ笑う。
あたりは爆発の騒ぎで私達の会話に気付く人はいない。
美雪ちゃんは、怪我をしている。
頭が血が流れている。
幾度も見てきて光景。
それが知らないおじさんやおねえさんから、クラスメイトの美雪ちゃんに変わっても私は何も感じなかった。
血って、やっぱり誰でも赤いんだな。
私もちゃんと赤いのかな？
パパは？ ジンは？ この、犯人は？
気になる。
「ねぇ、おじさん。出頭する気あるの？」
「まさか。俺は逃げる」
「ほんとに逃げられると思ってる？」
「お前、ガキのくせに……ガキ？ まさか、お前、あの組織の……」
「正解♡」
とびきりの笑顔でそのおじさんを見つめる。
そして、側にあった何かの破片で彼を斬りつける。
「痛っ」
犯人は突然の出来事にかわすこともできない。
無惨にも小学生のクソガキに斬りつけられたのだ。
スーツの上からだからかな？
血の色はわからない。
周りは、自分の事で、美雪ちゃんのお世話で手一杯。
煙はもくもくしてるし、誰も、気付かない。
好都合だ。
「お前！」
犯人は悪あがきをする。無駄なのに。
「私が誰のガキか気付けたのはすごいと思うわ。でも、気付いたらやらないとね？ 気付かれたから、私は、やる。悪く思わないでね。犯人サン」
私はぱぱにもらった麻酔薬が塗られた注射針を彼の首に刺す。
「この、ガキ……殺す……」
犯人は、近くにあるガラス片を拾おうとする。
私はその手を踏みつける。
代わりに拳銃を……スライドを引き、すぐに射撃できる状態のグロック17を握らせる。
私の趣味じゃないけどしょうがない。
特定の銃を持ち歩くのは得策ではない。
バレ易いから。
「さぁ、作戦に失敗した犯人さん。自殺して下さい」
そう言って、トリガーを引く。
パンと乾いた音がして、トリガーは引かれた。
犯人の頭からは血が流れている。
白い床に、赤い血が拡がる。
あぁ、犯人の血も赤いんだ。
人を傷付けても、血の色は変わらないんだ。
多分、脳を撃ち抜いたから、心配ないと思うけど、念の為、もう1発。
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作者名：英 優美 | 作成日時：2021年7月21日 21時
