アルバム ページ6
ピンポーン
博士の家のチャイムが鳴る。
「おい、灰原、誰だ?」
「さぁ? 博士? 見てきてくれる?」
「全く人遣いが荒いのォ、君たちは」
「私はデータの管理に忙しいの」
「俺は例の調査の続きだ」
工藤君もパソコンと睨めっこしている。
「おお! 君たちか、どうしたんだ?」
「今日、みんなで小さい頃のアルバム見せ合おうって話してたんだけどコナン君も来てる?」
「あ、そういえば」
「そんな話してたわね」
私はもちろん、工藤君も見せられる写真なんてない。
まぁ、工藤君は"江戸川 コナン"でなく"工藤 新一"としての写真はあるけど。
私にはない。
"灰原 哀"はもちろんあるわけがなく。
"宮野 志保"の写真もない。
お母さんの写真も、お父さんの写真もない。
お姉ちゃんの写真もない。
あるのは科学者としての両親のしゃしんと自 殺として扱われた新聞の記事……
「おい、灰原?」
「あぁ、ごめんなさい。どうしたの?」
「哀ちゃん見てみて! 歩美の赤ちゃんの頃だよ」
そこにはお母さんに抱かれる赤ん坊がいた。
お母さんの優しい微笑み。
無邪気に笑う吉田さん。
私にもこんか事があったのかしら……
「ほら! 俺のはこれだぜ!」
そこには元気に哺乳瓶を飲んでいる赤ん坊がいた。
口の周りにミルクをつけて飲んでいる。
そばにはあの男気ある元気なお父さんがいた。
「元太君はこの頃から食いしん坊だったんですね!」
「はぁ? そういう光彦はどーなんだよ!!」
「僕はですね!」
円谷君が見せてくれたのは絵本を抱きながら寝ている赤ん坊の写真だった。
横でお姉さんらしき人とお母さんも一緒に写っていた。
皆んな、家族といる。
私には……?
「コナン君のは!?」
「え"!? 俺のガキの頃の写真?」
「今だってガキじゃねぇーかよ」
小嶋君に突っ込まれる。
「悪りぃ。悪りぃ。今よりもガキの頃の写真だって? ンなの見てもつまんねぇーだろ」
「歩美はみたいな! コナン君の赤ちゃんの頃の写真❤」
「オ、オメェーらな」
助けて! と工藤君が目で合図する。
仕方ないわね。もう。
「江戸川君はウチに遊びに来てるから写真なんてないわよ。それに、探偵事務所に預けられてるんだからもちろん帰ってからもないわ」
「つまんないのー! じゃあさ! お母さんに頼んだいてよ! 赤ちゃんの時の写真メールしてって!」
「ハァ?」
「それなら可能ですもんね!」
「絶対だからな! コナン!」
「おいおい」
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作者名:英 優美 | 作成日時:2016年8月28日 2時