君を見つけた日。【角名倫太郎】 (ページ21)

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＊youside

昼休み

いつものように購買に行き
お目当てのカツサンドを選ぶ
結構人気らしく、
売り切れの時もあったりするくらいだ

(今日は買えてよかった～)

購買から戻る途中
ふいに横に誰かが並ぶ

「Aさん、」

顔を見る前に声で角名くんだとわかった

彼が言うにはお弁当を忘れたらしく、
購買で調達した帰り道だとの事

角名くんはいつも冷静そうだから
なんか意外だななんて

「Aさんもカツサンド？」

私の手にあるそれを見て彼が言う

『ここのカツサンド、すごい好きなんだよね』
「あ、それわかります。めっちゃ美味い」
『さすが角名くん、わかってる～』

別に大したことじゃないけど、
同じものを好きと聞いてちょっと嬉しい

その後も角名くんと話して聞いたのは
ＧＷ中はバレー部で校内合宿があるってこと

やっぱり強豪校だなぁ
連休なんてあってないようなものだよね
私なんか特に予定もないから
ダラダラ過ごして終わりそうだし

合宿、頑張ってね

そう彼に言って教室に行こうとした時

「....あのっ」

後ろから呼び止められて振り向く

＂LINE交換しませんか＂

一瞬、時間が止まった気がした

でも何か考える前に先に口が動いた
気づけばお互いのスマホをかざしてて
今の自分の顔を周りに見られたくなくて
それは角名くんもしかりで、

教室に着いたら何か送ると伝えて
足早にクラスに戻り
自分の席へ着いた

(..........)

LINEを交換しただけ
ただそれだけ

今までだって誰かと普通にしてきた事

なのに、

何でこんなに嬉しいのか

(とりあえず、何か送らないと...)

明日から頑張ってという文章と
最近はまってるゆるいスタンプだけ送った

我ながら女子力のかけらもない、
素っ気ない文章

だけど今の自分にはそれが精一杯だった

ねぇ、角名くん

君にとっては特別な意味なんか
無かったのかもしれない

同じように連絡先を交換する子は
きっと周りにたくさんいるだろうし

角名くんがモテることは
さすがの私でも見ればわかる

私なんかが君と知り合えただけでも
普通だったらありえないのに

でも、

特別な意味なんか無くても

素直に嬉しいと思っちゃったんだ

だけど私は
この感情に気づかないふりをする

期待をすると期待をしたその分だけ
叶わなかった時の辛さに
きっと耐えられないと思うから

.