君を見つけた日。【角名倫太郎】 (ページ16)

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次の日、
通常の時間帯の電車に乗り込む

何故か今日はいつもより混んでいて
空いてる席が見当たらなかった

(あ、)

少し離れた所にAさんの姿を見つけた

向こうも俺に気付いて軽く手を振る

満員程ではなかったから
彼女の近くまで車内を移動する事にした

「おはようございます」

『おはよう』

ちょっと眠そうな声で返事をする彼女

「本当に朝弱いんですね」

ちょっと笑って言ったら、

『これでも目覚まし5回くらいかけてるんだよ』

「5回も？多くないですか？」

他愛もない会話が続く

『そういえば角名くん、2年生でスタメンなんだって？
うち強豪校らしいのにすごいね』

「ありがとうございます。(らしい....？)」

彼女の言った言葉に疑問を抱くと顔に出たらしく、

『あ、私去年の夏休みにこっちに転校してきてさ。
まだあんまり詳しくない事多くて』

「だから関西弁じゃないんですね」

初めて声を聞いた時から思ってたけど、
Aさんは関西弁じゃなかった

『兵庫来る前は東京に住んでたんだ。
あ！前の高校も男バレ結構強かったんだよ』

「へぇ、何て高校ですか？」

『知ってるかな？音駒高校ってところ』

音駒と言えば確か梟谷グループの1つだったかな
守備が上手いって聞いた事がある
一度は衰退しかけたけど、最近復活したって噂

「音駒だったんですね、もちろん知ってますよ」

『おお、よかった。友達が男バレにいるんだよね。
稲荷崎に転校って言った時、すごい食いついてきたもん』

根っからのバレーヲタクだよ本当に
って、笑いながら話す彼女

『てか角名くんもちょっとイントネーション違うよね？』

「俺、元々は愛知出身なんです。
バレーやる為に兵庫に来たんですよ」

近所にバレーのクラブチームがあったから
何となく始めたのかきっかけで

中学入ってから身長がどんどん伸びていき、
元々体幹が強かったことも合わさって
中学で結構良い成績を残せた

そのおかげで黒須監督から声がかかり今に至る

『うわぁ、すごいね。』

「いえ、...ところでAさんは何で兵庫に？」

聞いて良かったのか悪かったのか

俺の質問に少しだけ難しい表情をした

『うちは....父の仕事の関係でね、』

それから父親の仕事の都合で
急に転校が決まったことや、
母親が既に亡くなっていること
音駒のバレー部に親しい友人がいることなど
Aさんは簡潔に教えてくれた

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