月のおとぎ話。2

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次の日、私は目を真っ赤に腫らして静かに泣いていた。


お母様は昨日からずっと不機嫌な様子。
今日はそんな風に不機嫌なまま出かけて行った。


そして、いつもの時間にやって来た小鳥は心配そうに私を見つめている。



『ありがとう…、心配してくれているのね』



手に擦り寄る小鳥を見つめ、涙を拭って笑みを浮かべると、私は昨日のことを話していく。



『おはよう。…せっかくの誕生日なのに、昨日は台無しだったの…』



それもこれも、私が「外に出たい」とお母様に言ってしまったから…


勇気を出して「外に出たい」と、本当の気持ちを言ってみたんだけど


それを聞いたお母様はものすごく怒っていた。


あんなに怒り狂ったお母様を、私は初めて見たかもしれない。


私はたくさん、ひたすらに謝った。



『ごめんなさい…』



私にとってお母様は絶対的存在で、逆らう事は出来ない。


だから


もう二度と外に出たいなんて言わない、と、約束したのだ。


けれど


やっぱり、私は外に出たい。


気持ちを整理しながら、まだその気持ちが残っていることに気づいた。


お母様を困らせてしまうのも分かっている。


昨日のように怒らせてしまう事も十分わかっている。



『私って、とっても悪い娘よね…。お母様が心配してくれているのに』



小鳥は私を見つめると、硬いくちばしで手をコツンと強く叩いてくる。


痛い、と小さく声をあげて小鳥を見つめると、何故だか怒っているようにも見えた。


首を傾げて「どうしたの？」と聞くが言葉が通じないので何も分からない。


だけどなんとなく、小鳥が私を心配してくれている事はわかった。


まるで「もっと自分の気持ちを大切にしろ」と言われているみたいで、ちょっとドキリとする。


それが嬉しくて私は表情をそっと緩め、自分に言い聞かせるように呟いてみる。



『…当分、外に出るのは諦めるわ。お母様を悲しませたくないの。』



そう言って小鳥の頭を撫でながらも、私の本心は別の所にあった。


いつかはここから抜け出していろんな世界を見てみたい。


そして、本に書いてある「結婚」というのもしてみたい。


他の人と、たくさんお話して関わりたいの。



そう思うのが悪い事なのだと、罪の意識に苛まれながら、そんな事ばかりを考えていたのだ。


そしてその想いが何かに届いたのか。


半分の月が私を照らした夜


その人は突然、私の前に姿を見せた。


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