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ブラウンを包む光はどんどん大きくなって、やがて消えた。
ブラウンの姿もない。
そのかわり
「……Aちゃん。」
長身の男が私を見つめ、名前を呼んでいた。
瞳がどことなくブラウンに似ているし、茶色の髪もとても似ていた。
でも、ボディーガードらしく黒のスーツを着こなしているその姿は、いつもの可愛いブラウンには見えなくて。
サッと目を逸らしてしまう。
「さ！これで準備もできたし、早く馬車に乗って行かないと舞踏会終わっちゃうよ〜！」
私達のぎこちない様子には気づきもせず、ホシは背中を押して早く早くと急かす。
はいはい、と適当に流して馬車に乗り込もうとした時、横から手を握られる。
「危ないから俺につかまって」
しっかりした男の人の手で優しく支えられながら馬車に乗ると、急に鼓動が速くなる。
「いってらっしゃーい！玉の輿だよ、玉の輿！」
そう叫ぶホシに、はは、と笑いながらもとりあえず「ありがとう」と言って手を振った。
ブラウンも私の目の前の席に座り、窓から見えるホシに手を振っていた。
「……ちゃんと王子様を見つけるんだよ、お姫様。」
ホシはそう呟いて杖を一振りし、その場から消えていた。
馬車が走り出し、森の中を走るとガタガタ馬車が揺れる。
狭い車内で向かい合うとブラウンからの視線が熱くて戸惑ってしまい、あまり見ることが出来ない。
それに、ブラウンは王子様みたいにかっこよかった。
「…今日のAちゃんは、お姫様みたいだね。いつも可愛いけど。」
『……あ、ありがとう。…えと、ブラウンも…か、かっこいいよね。王子様みたいで』
何を言ってるんだ私。焦って上手く話せない。
そんな私に、彼は言いにくそうに切り出した。
「あの…俺、ブラウンじゃない」
『え？』
「ミンギュって名前。呼んで？」
『……み、ミンギュくん』
「呼び捨てでいいよ、今までみたいに。」
どうやらきちんと名前があったみたい。
私が「ミンギュ」と呼ぶと彼は嬉しそうに笑った。
ブラウン、なんてダサい名前よりもそっちの方が似合っていて、しっくりくる。
とはいえ、今まで犬だったのに急に人間になられても緊張するし、こちらからしたら初めまして状態である。
間が持たず窓から月を眺めていると、ミンギュは私の手を握って話しかけてきた。
「ずっと人間になって、Aちゃんを守ってあげたかったんだ。」
「俺にとって君は、お姫様だから。」
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月の民(プロフ) - イチさん» イチさん、読んでくださってありがとうございます！そして温かいお言葉、本当に本当に嬉しいです…！これを励みに、これからも頑張りますね^^ (2018年3月20日 1時) (
レス) id: fdbe7baf4f (このIDを非表示/違反報告)
イチ(プロフ) - どのお話もとても面白かったです………！それぞれの個性と話の内容がマッチしていてどんどん読み進めてしまいました。とても面白かったです、これからも更新頑張ってください。応援しています！ (2018年3月20日 1時) (レス) id: 783077e291 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月の民 | 作成日時：2018年3月18日 11時
