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「おーーい！Aちゃん！なんで寝てんのぉお！」
いつもの倍の量となった家事を終わらせて疲れ切った私は、ソファで眠ってしまっていた。
それもこれも、慌ただしく出かけていった彼女たちが家の中を荒らしたおかげである。
そして目の前で叫ぶホシという魔法使いは頭を抱えながら私を無理矢理起こし、庭に連れて行った。
「さ！今から舞踏会へ行こう。早速準備を始め…」
『寒いし、疲れたし、もういいから。』
「はあぁぁあ！！？」
杖を振り、二階にある私の部屋のクローゼットの中から、徹夜して作ったボロボロのドレスを持ってきた彼に「行かない」と言う。
他にも、カボチャやトカゲやネズミを用意していて、見るからにやる気満々なご様子だ。
しかし私の言葉を聞いた途端、魔法使いは細い目をカッと見開き私を見つめる。
私は申し訳なさそうに視線を落とし、小さな声で答えた。
『ドレスも…、顔も…ひどいもの』
そう言うとブラウンが慰めるように私の手に擦り寄ってくれる。
やっぱり私の味方はお前だけ。
お前がいてくれたら今の生活から抜け出せなくたって、別にいい。
王子様と結婚できなくても…
「Aちゃん！大丈夫。僕の魔法を信じて！」
私の様子をしばらく見ていた魔法使いは、落ち込む私など構わずにあっけらかんと笑いながら、予告もなしに杖を振った。
「もちもちきもち〜」
ちょっと待ってよ、と言おうとした時。
私の体は宙に浮き、ブラウンが混乱したように吠えた。
不思議な感覚、暖かい光に包まれて行くのがわかった。
気がついたらあのボロボロのドレスを身に纏って、その瞬間ドレスが光って…、どんどん変わっていく。
地に足がつくと光は消え、呆然とする私の目の前にまた魔法で鏡を作ってくれるホシ。
鏡に映る私は、綺麗だった。
髪は綺麗にまとめられ、上品に化粧も施されていた。
ドレスや靴も、お母様やお姉様が身につけているものと同じくらい。いや、それ以上に素晴らしく美しかった。
嬉しさと驚きのあまり声が出せずにいるとホシは、また杖を振る。
「時間もない。馬車と馬、それに御者を作らないと！」
そう言うと彼は、カボチャを馬車に、ネズミを馬に、トカゲを御者に変えてしまった。
『すごい……！』
「…最後にAちゃん、君のボディーガードも必要だね」
ホシは大きく杖を振るとブラウンを一瞥し、ひときわ大きく輝く光をブラウンに当てた。
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月の民(プロフ) - イチさん» イチさん、読んでくださってありがとうございます！そして温かいお言葉、本当に本当に嬉しいです…！これを励みに、これからも頑張りますね^^ (2018年3月20日 1時) (
レス) id: fdbe7baf4f (このIDを非表示/違反報告)
イチ(プロフ) - どのお話もとても面白かったです………！それぞれの個性と話の内容がマッチしていてどんどん読み進めてしまいました。とても面白かったです、これからも更新頑張ってください。応援しています！ (2018年3月20日 1時) (レス) id: 783077e291 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月の民 | 作成日時：2018年3月18日 11時
