『人魚姫』×ウジ 番外編2 ページ32
『満月の夜に男と2人きりで会うと女は喰われてしまうから、会ってはいけない。』
「…は？」
『私には分からないけど、満月になると男の人はすごく怖くなるんだってお姉様が言ってた。』
満月の夜に、男の人と会ってはいけないという言い伝えがある事をウジさんに話してみた。
ウジさんは何故だか気まずそうに自分のこめかみを撫でたり、俯いたり。
私、何かまずい事言ってしまったの？
確かに言い伝えがあるのは本当だし、お姉様達も守ってる。
だけど私は、ウジさんに会いに来た。
すごく、会いたかったから。
『私、ウジさんになら喰われたって良いの』
「…なっ、お、お前……！」
『大好きなの。それでも会いたかった。』
私の言葉にウジさんは目を泳がせて、頬を真っ赤にさせているようだった。
ウジさんは私に酷い事をしたりしない。他の男みたいに、襲いかかったり怖い事はしないもの。
そう、言葉を続けようとした。
だけど
『それにウジさんは優しいから、そんな事しないと思……、っ、きゃあ！』
「本当に？」
『えっ…？』
ウジさんは小舟から降りて、なんと海の中に入って来た。
海面が大きく揺れ、ウジさんは服も体もベタベタに濡れている。
私はびっくりして目を丸くしてしまった。
セレニティ号から伸びる鎖に捕まりながら私の腰に手を回して、抱き寄せるウジさん。
ウジさんは海水で張り付いた髪の毛を片手でかきあげて、じっと私を見つめる。
可愛い、綺麗だと思っていたけれど
本当にちゃんと男の人なんだと実感して
恥ずかしくて頬が熱くなる。
ウジさんは私のおでこに優しくキスしてから、少し怒ったように言う。
「これでも俺が、Aに手を出さないって断言できる？」
『……っ、ウジさん…』
「ジフンだよ」
『…え？』
「イ・ジフン。」
私の頬を撫でてじっと見つめる彼。
お互いの横顔が月に照らされて、2人とも真っ赤なのが分かってしまう。
『ジフンさん…』
「俺も、男なんだよ」
『はい…』
「俺になら喰われても良いなんて、簡単に言ったらダメだ。」
『ぅ……』
「返事は？」
『はい…』
諭されるように優しい声色で彼に言い聞かされると、小さく頷いた。
その様子にジフンさんは目元を緩めて、いつもの可愛い笑顔を浮かべる。
私は彼の笑顔にホッとして、自分からもそっと身を寄せた。
すると彼は悪戯っぽく笑って
私の頬に優しく口付けた。
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月の民(プロフ) - イチさん» イチさん、読んでくださってありがとうございます！そして温かいお言葉、本当に本当に嬉しいです…！これを励みに、これからも頑張りますね^^ (2018年3月20日 1時) (
レス) id: fdbe7baf4f (このIDを非表示/違反報告)
イチ(プロフ) - どのお話もとても面白かったです………！それぞれの個性と話の内容がマッチしていてどんどん読み進めてしまいました。とても面白かったです、これからも更新頑張ってください。応援しています！ (2018年3月20日 1時) (レス) id: 783077e291 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月の民 | 作成日時：2018年3月18日 11時
