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『…信じられない』
ドレスと靴を片付けてから部屋に戻ると、一人ベッドに座り込み、小さく独り言をこぼした。
遅れて、少し小綺麗になったブラウンも入ってくる。
なぜ綺麗になっているかというと。
名前を知っているだけじゃ魔法使いとは証明できない、と言った私にホシが怒って、「それなら見せてやるよ！」と言い
「もちもちきもち〜」
というふざけた呪文を唱え、この犬と汚れた靴やドレスを、綺麗にして見せたのだ。私の目の前で。
こうなるともう信じるしかなくて、とても怪しい事には変わりないのだが、とりあえず魔法使いという事は認めた。
「明日はね、王子様が結婚相手を見つけるための舞踏会が開かれるんだよ。」
「だからAちゃん、この生活から抜け出すには、この千載一遇のチャンスをものにしなきゃ」
「もうシンデレラなんて呼ばれない！かっこいい王子様に、プリンセスって呼ばれる日が来るんだ！」
「というわけで明日の夜また迎えに来るから、ドレス用意して待っててね〜」
びっくりして何も言えない私に、一人芝居をしてからホシは嵐のように去っていったのである。
『でもドレスなんて…』
あるはずがない。
そう呟いてベッドに横になると、ベッドの横にやってきたブラウンに手を舐められた。
どうしたの、と起き上がると、その背中には大きな布切れが。そしてどこから持ってきたのか、裁縫道具まであるではないか。
『…作れってか。』
「わん！」
私は急に気が遠くなった。
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次の日。
なんとかドレスは完成した。
『…眠い……』
ドレスと呼んでいいか分からないくらいの出来だし、それに眠っていないから顔もひどい。
早く朝ごはん作らなきゃ、そう思いながらも体は動かず。
結局寝坊した私はこっぴどく怒られてしまい、今日一日外出禁止と言いつけられてしまった。
『…結局行けないんじゃない。』
綺麗なドレスを身につけ、馬車に乗って意気揚々と家を出て行く彼女たちを窓から見つめ、ひどく惨めな気持ちになった。
そんな私を慰めるように、ブラウンはずっと隣にいてくれた。
あの魔法使いも、こんなドレスじゃ無理って笑うでしょ。
完全に諦めモードの私は徹夜して作ったドレスをクローゼットに仕舞いこみ、いつも通り家事をし続けた。
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月の民(プロフ) - イチさん» イチさん、読んでくださってありがとうございます！そして温かいお言葉、本当に本当に嬉しいです…！これを励みに、これからも頑張りますね^^ (2018年3月20日 1時) (
レス) id: fdbe7baf4f (このIDを非表示/違反報告)
イチ(プロフ) - どのお話もとても面白かったです………！それぞれの個性と話の内容がマッチしていてどんどん読み進めてしまいました。とても面白かったです、これからも更新頑張ってください。応援しています！ (2018年3月20日 1時) (レス) id: 783077e291 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月の民 | 作成日時：2018年3月18日 11時
