『人魚姫』×ウジ ページ27
今日も私は、船の下からあの人を見つめる。
いつも彼は物憂げな顔をしていて、すごく悩んでいるみたい。
お話してみたい…
「A、そろそろ戻らないと」
『ごめんなさいお姉様…、もう少し』
「やめときなさいよ、人間なんて。」
『素敵……』
「全くもう、人の話聞かないんだから」
お姉様を呆れさせるのは私の得意技。
だけど私は絶対にめげたりしない。
だって誰かを好きになるのって、自由でしょ？
しばらく彼を見つめた後
歌を歌いながら海の中へ潜り、鮮やかな珊瑚礁を超えて私たちの家へ帰る。
トンネルのような海藻をくぐり、友達の魚達に挨拶をして、海を自由に泳ぎ回る。
海に私の歌声が反響して、魚達は近づいてくる。
私は自由が大好き。
人を好きになるのも
海を泳ぎ回るのも
歌を歌うのも
みんな、私の自由。私だけのもの。
「Aや、また海面へ出たんだな。姉さんたちから聞いたぞ」
『ごめんなさいお父様…』
「人間は愚かだ。関わってはならん」
『分かってる…！見ているだけ』
今日もまたお父様に叱られた。
頭では分かっているの。地上に興味を持っちゃいけないって。
それはとても危険なこと。
お父様やお姉様は私を愛してくれているから、心配している。
だけど私は……
セレニティ号に乗っていつも物憂げに考え事をしている
名前も知らないあの方が好きなの。
あの方の歌と声も
全てが好き。
叶わなくても良い。
ただ、そばで見ていられれば。
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月の民(プロフ) - イチさん» イチさん、読んでくださってありがとうございます！そして温かいお言葉、本当に本当に嬉しいです…！これを励みに、これからも頑張りますね^^ (2018年3月20日 1時) (
レス) id: fdbe7baf4f (このIDを非表示/違反報告)
イチ(プロフ) - どのお話もとても面白かったです………！それぞれの個性と話の内容がマッチしていてどんどん読み進めてしまいました。とても面白かったです、これからも更新頑張ってください。応援しています！ (2018年3月20日 1時) (レス) id: 783077e291 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月の民 | 作成日時：2018年3月18日 11時
