進級を気に運動系の習い事を全て辞め、塾を増やしました ページ10
「やったのは私一人じゃないし、朝日先輩とか阿天坊先輩とか……柏木先輩とか!みんな協力してくれたもん!勿論颯馬だって」
『言い訳は良いから。なんで?』
「ゆ……優さんが虐められてるの、私は知らなかった。知らなかったから、何も気づけなかった。そういう事する時に私の眼鏡とるの、傷跡に気づかれたくなかったからなんだよね。
だから、何も気づけなかった罪滅ぼしのつもりで……」
『はあ……じゃ、悪意を持ってやった訳じゃないって事?』
「ほ、本当にそれは違うの!私はただ、優さんの事傷つける輩は誇り高き秀知院どころか、この国に要らないと思って」
Aさんは自分が秀知院の生徒である事に誇りを持っている。
僕に説教する時は大抵秀知院の生徒である自覚を云々言ってくるし、自分に対してもそうだ。
この言い方だと、日本にも居られなくなる位追い詰めたって事だろう。
『僕はそんな事頼んでない。結果多少歪な丸に収まっただけであって、途中でボロが出たりしたらどうしてたの?これは僕の経験上だけどね、その場の感情だけで動くとろくな事にならないよ』
「ご、ごめんなさい……優さんを怒らせようと思ってした訳じゃないの……」
しまった。Aさんがすっかり萎縮している。
「途中でやっぱりやめようかなって思ったりもしたの。こういうやり方は優さん嫌いかもって、非人道的な事は風紀委員って手前したくないって。
でも、病室で魘されてる優さんの事見たら……抑えられなくなって」
遂にAさんは泣き出してしまった。
大きなエメラルドのような瞳から大粒の涙が溢れている。
「ご、めんなさ……」
『ああもう、泣かないで。やっちゃった事はもう戻らないんだし、こんな事言って僕も多少はスカッとしたから』
「ほんと?」
『ほんとほんと』
Aさんの涙がピタッと止まる。ああ、こういう情緒不安定気味な所も可愛い。
「じ、じゃあ……主犯の四人だけじゃなくて援護した奴らも飛ばしたのも許してくれる?」
『えなにそんな事してたん!?』
「ふぇっ、言わない方が良かった!?」
『聞いてねぇよ何も!!?バカもうさあ、Aさんはそういう所がさあ』
「ご、ごめんなさい……」
『……可愛いから次からしないなら許す』
「し、しない!絶対しない!」
……VIPのお気に入りって、大分扱いに気付けるべきの立場かも。
鳴神さんのイメージは大人しく、それでいてしたたかな女子です→←家族に参考書買いに行くって言ったのにタコピー買っちゃった……
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作者名:白米 | 作者ホームページ:http://http://uranai.nosv.org/u.php/hp/13ec41960d1/
作成日時:2022年1月21日 20時