皆大好き(？)ヤンデレのお時間です ページ26
『お邪魔します。』
｢親も誰も居ないから、楽にしてて。｣
Aさんのそんな声を聞きながら、三回目のAさんの部屋をしげしげと眺める。
可愛いくまのぬいぐるみが置いてあったから、やっぱり可愛い人が持つ物は可愛くなるらしい。
｢お待たせっ。私特製のお紅茶どうぞ？｣
Aさんは生徒会でもお茶を淹れていない。
男の僕でさえたまに淹れるのに、そんなに紅茶に自信が無いのだろうか……
『ん……凄く美味しい。甘いね、砂糖入れた？』
｢ううん、それは天然の味。珍しいでしょ？｣
確かに珍しい紅茶だ。砂糖を入れなくても甘いなんて……
『紅茶って優雅にゆっくり飲まないといけないような気がするけど、これはグイグイ飲めちゃう。
何か、他の紅茶とは違う味がするのかな……』
｢それは企業秘密だよ。私特製なんだから、あんまり追求しないでね？｣
『判った。Aさんが言うなら普通に味わって飲むよ。』
｢えへへっ、いい子。｣
優しく僕の頭を撫でるAさん。
『子供扱いはやめてくれないかな……』
可愛いけど！
｢優さん、好きだよ。｣
『僕も好きだよ。急に何？何を言われたって僕は照れないけど。』
｢あはは、それもそうだ。でも、伝えておきたかったからさ。私は優さんの事大好き。愛してる。だからね…？
永遠に、私のモノになってくれないかなぁ？｣
『……は？』
あっ、ダメだなぁ僕。Aさんに｢は？｣なんて言ったら怖がらせちゃう。
『どういう事？Aさんのモノって……』
それに、Aさんの瞳にハイライトが一切無い……
｢ふふふ、そのままの意味だよ。優さんは永遠に私のモノになって、ずうっと一緒にあまぁい時を過ごすの。
大人になっても、ずっとね。｣
『いや、いや。意味が判らないよ。』
｢気付いてなぁい？私特製のお紅茶に何を入れたのか。｣
『？普通の紅茶じゃ……あ。』
まさか、この異常なまでの甘さは……
｢ふふふ、本当に私には騙されやすいよね。正解、私が入れたのは媚 薬。
そう、私お手製の｢飲んでから初めて見た人の虜になる｣薬。
もう優さんは私のモノ。永遠に、私から逃げられない…♡｣
恍惚とした表情で語るAさん。
『いや、ちょっと、待っ……ん゛ーっ……！！』
────────僕はAさんの虜。
いや、僕なんて居ないのだ。ここにいるのは、Aさんの事が大好きな石上優だけ。
『好きだよ、Aさん。』
シャトルラン。十七回でした。息切れして体育館に伏せながら｢おうち帰りたい……｣などとほざいてました。作者は運動が絶望的に出来ません。→←ｲﾔｧｧｧｧ月曜日が追ってくるぅぅぅぅぅ！！！！
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作者名：白米 | 作者ホームページ：http://http://uranai.nosv.org/u.php/hp/13ec41960d1/
作成日時：2021年4月5日 9時
